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「日本怪談歌舞伎」大阪松竹座で初日開幕

 2022年10月3日(月)、大阪松竹座で「日本怪談歌舞伎(Jホラーかぶき) 貞子×皿屋敷」が初日の幕を開けました。

 新作歌舞伎『時超輪廻古井処』(ときをこえりんねのふるいど)は、皿屋敷伝説を題材にした歌舞伎の演目『播州皿屋敷』と、平成3(1991)年刊行の“Jホラー”の代表作「リング」の“貞子”の物語が、時空を超えて交錯する作品です。

 

 幕が開くと舞台は現代の日本。あるVHSの映像を見た女性たちが井戸の中に消える事件が起き、大学教授で神官の室戸光(今井翼)と、その助手の高松煌平(莟玉)は、現場の状況から「貞子」による呪いだと推理します。実は、事件の起きた場所は浅山鉄山の屋敷の跡地。舞台が室町時代の播磨国に移ると、世継でありながら遊興三昧の細川巴之介(愛之助)の様子に、近習の船瀬三平(莟玉)は、許嫁の腰元のお菊(壱太郎)とともに、細川家の行く末を憂いていました。

 

 そこに、細川家の御家を乗っ取ろうと企む国家老・浅山鉄山(愛之助)、細川家の当主・勝元の正室のお春の方(壱太郎)が登場し、策略を巡らせます。現代劇から一変、歌舞伎らしい場面が続き、それぞれが2役を勤める愛之助、壱太郎、莟玉の早替りは大きなみどころです。鉄山により、その悪企みを知った三平は井戸に落とされますが、鉄山らもまた、井戸の魔力により現代にタイムリープしてしまいます。

 

 現代に現れた鉄山は、スマートフォンに残された「貞子」の映像が呪いの力をもつことに気づきます。さらに、三平に瓜二つの煌平が鉄山により囚われてしまい、現代と室町時代を行き来しながら物語が大きく動いていきます。室町時代に戻った鉄山が、お菊に皿の紛失の濡れ衣を着せて殺してしまう、緊迫感に満ちた責め場では客席も思わず息をのみます。「貞子」の呪いを複製し、己の利益のため邪魔者の抹殺を試みる鉄山の前に、室戸が立ちはだかり、その呪いを封じようとしますが…。

 

 現代と室町時代の登場人物が一緒になってのだんまりなど、歌舞伎ならではの魅力にあふれる演出に加え、ロック調の音楽などの現代的な要素も加わり、息もつかせぬ展開の舞台に、客席からは大きな拍手が送られました。

 大阪松竹座「日本怪談歌舞伎」は、25日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/10/06