猿之助、中車が語る「松竹大歌舞伎」中央コース、西コース

 

 5月31日(土)から始まる 「松竹大歌舞伎 中央コース」、8月31日(日)からの「松竹大歌舞伎 西コース」は、市川亀治郎改め四代目市川猿之助襲名披露 九代目市川中車襲名披露として行われます。公演を前に襲名披露の猿之助と中車が会見に臨みました。

 中央コースのポスターボードの前で

猿之助と中車ががっぷり組んで全国へ
 中央コースでは『一本刀土俵入』で二人が共演。猿之助は、「お蔦は芝翫さんに最後に教わった役で、人生で一番大切にしている役。この芝居をやることで、猿之助になっても女方を大切にしていますと、芝翫さんに報告したい」と、特別な思いを明かしました。

 中車も十八世勘三郎から「ぜひやるべき」と言われていたそうで、「父(猿翁)と芝翫さんが共演したDVDを見て、父に教えをもらいながらやっていこうと思っています」と、共演への意気込みを語りました。

 西コースの幕開きは『小栗栖の長兵衛』。「2年前、新橋演舞場で歌舞伎に初めて出させていただいた作品です。少しでも自らの前進を実感できる60分でありたい」と中車。襲名披露興行を4カ月積み重ねた先の長兵衛を約束しました。そして、猿之助は『四の切』について、「もう語る言葉は必要ない、三代目、四代目猿之助=狐忠信、と思っていただいていい」と、こちらも襲名披露での上演が役を進化させたことを思わせました。

 西コースのポスターボードの前で

2年にわたる襲名披露興行で
 「襲名して2年というより、随分前から猿之助だった気がする」ほど、新しい名前を自分のものにしている様子の猿之助。襲名時に話していたスーパー歌舞伎の継承として、現在、新橋演舞場でスーパー歌舞伎II(セカンド)を上演、「次は古典の継承と、今回の『一本刀土俵入』のように、先輩から預かった荷物を次に渡す役目を果たすこと。それから、スーパー歌舞伎IIの次回作」と、忙しいながらも充実した時を過ごしていると語りました。

 中車は初舞台から2年経ち、「歌舞伎に対する思いが変わってきた」と言います。「もっと早くからやりたかった。これほどすべて完璧に構築されている歌舞伎、長い時間をかけてできたその"完全体"を見せられると、理屈は理解してもできない自分にもどかしさを感じます」と率直な気持ちを話しました。「でも、時間をかけてやっていると、ある日、1ミリ前進したかと錯覚する...、今はそれを楽しみに前に進んでいます。人生に得るものが大きい、ありがたい仕事です」。

全国の皆さんに会いに行く
 「それぞれの土地の美味しいものをいただき、それを活力にして皆さんに会いに行きます。全国の皆さん、温かく迎えていただきたい」と呼びかけたのは猿之助。中車は、猿之助をはじめ澤瀉屋一門が一緒で心強いと言い、「2年間、修行したものを少しでもこの公演にぶつけられれば」と、舞台と移動を繰り返す全国公演という初体験に、前向きな姿勢を見せました。

猿之助、中車が語る「松竹大歌舞伎」中央コース、西コース

 平成26年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」の中央コースは5月31日(土)~6月27日(金)、西コースは8月31日(日)~9月26日(金)の開催。チケット販売は各会場ごとに異なりますので、それぞれの公演情報をご確認ください。


「松竹大歌舞伎 中央コース」公演情報
「松竹大歌舞伎 西コース」公演情報

※澤瀉屋の「瀉」のつくりは正しくは"わかんむり"です。

2014/03/20