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尾上右近が「歌舞伎×オーケストラ」で見せる新境地
8月24日(水)に東京 サントリーホールで開かれる「日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン Vol.5 『歌舞伎×オーケストラ』」に出演の尾上右近が、リハーサルで公演に向けての意気込みを語りました。
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サントリーホールでの、山田和樹(指揮)率いるオーケストラとのコラボレーションは、昨年見せたストラヴィンスキーの『春の祭典』に続き2回目となる右近。今年はラヴェルの『ラ・ヴァルス』とレスピーギの『ローマの松』、2曲を踊ります。
『ラ・ヴァルス』は、タイトルどおりワルツのリズムが刻まれている曲です。「普通のワルツというより、どろっとした部分、攻撃的な部分もあり、心弾むような部分もあります。3拍子は基本的に、古典の踊りにはほとんどありません。舞踊としての美しさと歌舞伎俳優としての気持ち、その兼ね合い、バランスを見極める感覚を大事にしたいと思います」。
舞扇を使い、緩急をつけた華やかな踊りで、大きなホールに負けない存在感を生み出します。「サントリーホールのパイプオルガンの前で、舞台を見下ろすように踊るのも新鮮で気持ちがいい」と、うれしそうに話しました。
『ローマの松』は4つの部分からなり、それぞれに作曲者が主題についての注釈をつけていますが、「あえて細かく意味をとらえず、そこから(振付の尾上)菊之丞先生が選び出されたテーマ、たとえば、第2章なら悲哀、哀愁、第3章なら月と恋をしている女性といったテーマに合わせて踊ります」。4つのまったく異なるテーマを描き出すために使う小道具は、晒、男の半面と女の半面、棒。「すべてが初めて。初めてがこの一曲に凝縮されました」。
面をつけての踊りは難しいと言います。「内面のテンションを上げないとこもってしまうと、お聞きしました。しかも今回は半面ですから、素顔ものぞき、個性もはみ出しているのが前提です」。踊りのテーマや内面を大切にしつつ、「許容の範囲内で、自分が出てしまうところも大事にしていく」と、ここでもバランスの重要性を語りました。
ワルツのリズムも、作曲者のテーマも、それらにぴったり乗っていくのではなく、「つかず離れず、です。くっついたままでは、オーケストラと歌舞伎のコラボにならないのではないでしょうか。ポイントではぴったり演奏に乗る、けれどもすぐに離れ、乗っているようで乗っていない。つまり、きっちり収まるのではなく、はみ出すことで広がりが出る、余白が生まれるのが理想。しっかりイメージはできているので、あとは理想に向けて本番まで頑張るのみです」。公演は24日(水)、チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイトにて販売中です。
詳細はこちら日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン Vol.5『歌舞伎×オーケストラ』