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歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」出演者が意気込みを語る

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」出演者が意気込みを語る

 

 

 8月9日(水)の初日を前に、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」出演の中村扇雀、坂東彌十郎、市川染五郎、市川猿之助、中村勘九郎、市川中車が公演への意気込みを語りました。

 「昨年から染五郎さん、猿之助さんが加わり、今年は中車さんも加わって、大人数の公演になりました。演目も盛りだくさんです」と扇雀が紹介した8月恒例、歌舞伎座の納涼歌舞伎。

 

野田秀樹作品らしさが散りばめられた新作

 扇雀が出演するのは第三部の野田秀樹作・演出による『野田版 桜の森の満開の下』。「『野田版』歌舞伎としては4作目となります。(十八世)勘三郎のお兄さんが亡くなった後もこうして続けられて、皆さんの期待も大きい。野田さんらしさが散りばめられていて、見終わってから素敵だったなと思える作品に仕上がっていると思う」と初日に向けて自信を見せました。「野田さんは、俳優がゼロからつくり出すものを非常に大事にしてくださる優しい方。今回、歌舞伎のために七五調に書き直した本は、歌舞伎俳優が演じることで、これまでとは違う『桜』の満開が広がると思います」。

 

 第二部の初世坂東好太郎三十七回忌 二世坂東吉弥十三回忌 追善狂言『修禅寺物語』で、「父と兄の追善をさせていただきます。勘三郎さん、三津五郎さんという、立ち上げの頃からおやりになっていた方たちもいなくなってしまいました。しかし、8月は若手の月、若手のつもりで私も挑戦して頑張っていきたい」と語ったのは彌十郎。『桜の森の満開の下』については、「野田さんは本当にすごい方で、毎回、勉強させていただいています」と、十数年前、勘三郎と野田秀樹が行ったワークショップの頃を懐かしみながら話しました。

 

お客様のご要望にお応えして

 染五郎は、「第一部は玉三郎のお兄さん、第二部は猿之助さん、第三部は野田さん。こんなに贅沢な演出がいっぺんに味わえます」と、今年の納涼歌舞伎の魅力をアピール。第二部の『歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)』は、「タイトルもお客様の応募で決めていただきましたし、その日のストーリー展開もお客様に決めていただきます。我々もどうなるかわかりませんが、積極的に楽しんでやるのが“やじきた”のテーマ。楽しんでいきたい」と抱負を語りました。

 

 演出も手がける猿之助は、「オーディエンスによって結果が変わるというのは、やってみたら意外と大変で、こんがらがってきてしまう」と苦笑いしながらも、「出ている人に楽しくやってもらわないといけない」と語り、自身も「染五郎と猿之助という名前では最後のコンビになるので、個人的には寂しいけれど、最後に二人で宙乗りで飛んでいくといういい思い出になる。染五郎猿之助コンビを存分に楽しみたい」とにっこり。それぞれの作品の世界観の違いを対比して観てもらいたいと続けました。

 

世代を超えて引き継がれていく納涼歌舞伎

 「熱量が半端ないと思います」と言ったのは勘九郎。「今年の納涼歌舞伎を通しての印象は“美しい作品”。その美しさを楽しみに来てくださったらうれしい」。新しい歌舞伎座で初めての「野田版」歌舞伎については、「気合が入ります。素晴らしい世界観をお客様にストレートに感じていただけるようなものにしないといけない」と意気込みを見せました。一方、長男の勘太郎の『玉兎』については、「のびのび大きく踊ってくれればいい」と言った後に、「それより(自分の)『団子売』が心配」と、本音ものぞかせました。

 

 「全力で初めての納涼歌舞伎を勤めたい」と気合十分なのは中車です。「去年、七之助さんと12月にご一緒させていただいたとき、ぜひ納涼でやろうねと約束した『刺青奇偶』が現実になり、玉三郎のお兄さんの演出で、それも幕開きにやることができてすごく身が引き締まる思いです」。七之助との共演で、「勘三郎のお兄さんを感じることができ、僕なりに思い入れのある月になると思います」としみじみ。

 

 第二部の『歌舞伎座捕物帖』には、金太郎、團子が昨年と同じ役で出演しますが、「頭一つ大きくなった」(染五郎)、「1年前の映像と比べても、大きくなったな、頼もしいなと思います」(中車)と、その成長ぶりにもふれました。「彼らは重要な場を担っているので、ぜひ、その活躍を見てほしい」と猿之助。扇雀は、「若手がたくさん活躍しますから、ご贔屓の狙いを定めてみては」と別の楽しみ方も提案し、「暑いさなかではございますが、歌舞伎座へ足を運んでいただいて存分に歌舞伎を楽しんでいただければ」とご来場を呼びかけました。

 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は8月27日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。 

2017/08/09