ニュース
博多座「六月博多座大歌舞伎」初日の賑わい

2025年6月4日(水)、博多座「六月博多座大歌舞伎」の初日の幕が開きました。
▼
昼の部は、一家の情愛が軸となる義太夫狂言『双蝶々曲輪日記』「引窓」で幕を開けます。南与兵衛後に南方十次兵衛(橋之助)、女房お早(鶴松)、母お幸(梅花)、濡髪長五郎(中村福之助)が繰り広げる、互いの立場や心中を思い合う濃厚な人間ドラマに、観客はぐっと引き込まれました。続く『お祭り』は、粋で洒脱な江戸情緒あふれる舞踊です。『平成中村座小倉城公演』でも好評を博した勘九郎による鷲頭が、色気たっぷりに踊りを見せ、見事観客を魅了しました。そして、昨年5月に東京・新宿の「歌舞伎町大歌舞伎」で初演された『福叶神恋噺』と続きます。貧乏神おびん(七之助)と、大工辰五郎(虎之介)の、愛すべきやりとりに客席からは笑みがこぼれ、貧乏神すかんぴん(勘九郎)、貧乏神元締からっけつ(猿弥)との絡みや、博多にちなんだエピソードも加わり、その人情味あふれるお芝居に劇場全体があたたかい雰囲気に包まれました。
夜の部の幕開きは、ご当地ものの『菅原伝授手習鑑』「道行詞の甘替」です。舎人桜丸(虎之介)、苅屋姫(鶴松)、斎世の君(中村福之助)の細やかな心情を描く本作を、59年ぶりに練り上げて上演しました。続くは、十八世中村勘三郎が復活させ、当代勘九郎に継承された『怪談乳房榎』。落語家・三遊亭円朝の口演をもとにした怪談噺で、気品漂う菱川重信、正直者の下男正助、悪党の蟒三次という異なる3役を、勘九郎が早替りで巧みに演じ分け観客を驚かせます。本水を使用した滝壺のなかで、早替りをしながら繰り広げる大立廻りは、客席から大きなどよめきと歓声が起こり、圧巻の迫力とエンタテインメント性に惜しみない拍手が送られました。
▼
博多座「六月博多座大歌舞伎」は、26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。