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段治郎が成功祈願~初春新派公演『日本橋』
平成23年1月、三越劇場で初春新派公演『日本橋』が上演されます。来年、平成23年は名橋"日本橋"架橋百周年。その記念の年に行われる初春新派公演に先立ち、出演者らが作品や新派に縁の深い日本橋西河岸地蔵寺を訪れ、成功祈願を行いました。
『日本橋』は大正4年(1915)3月本郷座にて初演。その独特の美意識から『婦系図』『夜叉ケ池』『滝の白糸』『天守物語』など、明治・大正・昭和を通じて多くの名作を生み出した作家・泉鏡花の作品。大正時代の日本橋を舞台に、恋に悩まされながらも意地をたて通す芸妓の真情を描いた物語は、当時としてはまさに新派ならではの「現代劇」でした。また、鏡花節と呼ばれる泉鏡花特有の美しい言語表現が多数散りばめられている作品としても有名です。
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波乃久里子
本日の成功祈願はあいにく雨空でしたが、この舞台『日本橋』に限っては、台詞にも「姿は雨に、月の朧に・・・」とあるように、お孝の家にいるようなイマジネーションが涌いてきて、幸先良いように思えてきます。高橋惠子さんには新派に出ていただきたいとずっとラブコールをお送りしていて、とうとうこの舞台でそれが実現します。段治郎さんは背が高く素敵で、本当に素晴らしい葛木さんにめぐり会えたと嬉しく思っています。そして、一番弟子の鴫原桂が、私の持ち役だったお千世をやらせていただける、本当にありがたい事です。初代の水谷八重子先生が初演なさったのが、ちょうど私の今の歳でした。そのとき小道具をお持ちになった手が震えていらしたのを印象的に覚えています。私もきっとあがってしまうのではないでしょうか。
高橋惠子
昔から新派というものに憧れを持っていて、一度は新派の方と一緒に舞台に立たせていただきたいと思っておりました。そして、今回『日本橋』の清葉というお役をいただき身に余る光栄な事と、とても感動致しております。最初に台本を読んだとき、美しい日本語の中に、生きている一人一人の心が表れていて心を揺さぶられました。原作も、言葉の美しさ、文体の小気味の良さが素晴らしく、日本人に生まれて良かったなと思いながら読んでおります。来年の1月2日に初日を迎えますが、これから少しずつ清葉のイメージを自分の中で膨らませていきたいと思っています。
市川段治郎
歌舞伎では、玉三郎さんと鏡花物をご一緒させていただきましたが、台詞に大変苦心した思い出があります。それから数年経ち、改めて様々な泉鏡花の作品を読み返し、当時の事を思い出してみると「ああ、こういうことだったのか」と改めて分かることも多く、そんな矢先にこの『日本橋』の葛木というお役をいただき大変光栄に思っています。葛木は『夜叉ヶ池』で勤めた萩原に通じるようなお役だと感じています。『夜叉ケ池』を勉強しているときに見て憧れていた葛木が勤められること、そして新派に初めて参加させていただけることをとても嬉しく思っております。
鴫原桂
地蔵寺をお参りさせていただき、花柳章太郎先生の奉納された絵馬を手にして、今とても興奮しております。絵の中のお千世さん、そしてお地蔵様に支えて下さいとお願いしてきました。師匠のお孝のもとでお千世を勤めさせていただくことは、本当にありがたく、作品の中に脈々と流れている大切なものを少しでも引き継ぐことが出来るように努力したいと思っています。そして、素敵な清葉姉さん、葛木さんが新派の舞台に来てくださって、本当にキラキラした皆さんのそばで、幸せなお正月を迎えられそうです。
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初春新派公演『日本橋』は11月30日(火)よりチケット予約開始です。良い席はお早めに!