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七之助が語る、「八月納涼歌舞伎」

七之助が語る、「八月納涼歌舞伎」

 

 8月9日(金)に初日を迎える、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」について、出演の中村七之助が語りました。

 平成2(1990)年から始まった「八月納涼歌舞伎」。十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時 八十助)らが中心となり、「どうやったらお客様が来て、歌舞伎を好きになってくれるかということを、皆で考えていた」と、その姿を間近で見てきた実感を込めました。「父と三津五郎のおじ様が、あれだけ楽しそうに、そして厳しくやってきたということを、肝に銘じて、ずっと続けていかなくては」と続け、「あの盛り上がり、興奮、お客様のあの感じ…楽しい思いの詰まったひと月です」。今年、七之助は第一部、第二部、第三部のすべてに出演します。

 

七之助が語る、「八月納涼歌舞伎」

初役で勤める政岡

 第一部では、『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の乳人政岡を初役で勤めます。「成駒屋の祖父(七世芝翫)の政岡をずっと観てましたし、父も、『裏表先代萩』で一度だけやっています(2007年歌舞伎座)。とても大きい役。もちろんやらせていただきたいと思っていましたが、今の年代でやるとは思っていなかった」と、驚きを隠せません。玉三郎に教わっての稽古は始まっており、「大変なお役であることは確かです。やってみて、改めていい芝居だと思います」。

 

 玉三郎の政岡は、「何もなさらないというのが魅力。けれども、玉三郎さんが歌右衛門さんから教えていただいたときの話は聞いてみたいと思います。大きかった石をどんどん削って今の形になさったのかなと思うので。僕が今の形をやるには、とてつもない気持ちの整理が必要だし、ちゃんとした段階を教えておいていただかないと、過程がないから、真似をしたところで、ふわっとしたものになってしまうと思うんです。だから、ここを理解していないと難しい。そこが僕の課題」と気を引き締めました。

 

 大事と教わった箇所は、「もちろん全部なのですが、一番おっしゃっていたのは、最初。(前段の)「竹の間」からの緊張感。「竹の間」が終わって、やっと三人という空間になったという安堵がありつつ、次はどういう手で仕掛けてくるんだろうという緊張感がずっと続いている。(政岡は)三人になったとき、乳母であり、母である。この三人の関係を、しっかりと見せなければ」と言います。「なんでもないところなんだけれども、そこでしっかり世界観や、政岡と、二人(千松、鶴千代)の関係をお客様にわかっていただく。わからずとも、ちゃんとやっていれば沁みてくる雰囲気をつくっておかないと、最後まで気持ちが続かないというところを、細かく教えていただきました」。

 

七之助が語る、「八月納涼歌舞伎」

『伽羅先代萩』 中村七之助の乳人政岡(撮影:加藤孝)

勘太郎の千松に長三郎の鶴千代

 千松と鶴千代は、甥の勘太郎と長三郎が勤めます。「二人がひもじくしている姿を見ただけで、たまらなくなって涙が出てきてしまうのではと。そこが変に出ないように、その感情を腹の下の方に、マグマのように溜め込まないといけない役だと思うので、気を付けて演じたい。両方に優しくなってしまいそうですが、千松には、深い愛はあるけれどもぴしっと。二人への心配や、彼らがどういうアプローチでくるかという心配はまったくしていないです。二人を信じていますので」と、目を細めました。

 

 そんな二人との稽古はまだ始まっていませんが、「玉三郎さんが二人にどのように教えて、それをどのように吸収するのか。スポンジみたいな時ですから。小学校2年生と、小学校に入るくらいの(年齢の)人間が、玉三郎さんの考え、『伽羅先代萩』の考えを、どういう風に受け止めるか。玉三郎さんは、(稽古が)始まる前に、二人にここはこういう気持ちですよ、ということをたぶんおっしゃると思う。それをどう受け止めるか、すごく楽しみですね」。

 

 今回の公演では、政岡が千松と鶴千代にご飯を茶道のお点前にのっとって炊く、「飯炊き(ままたき)」の場面もあります。「ないときもありますが、やはり、ここはやった方がよいと」、今回とり入れることになりました。実際にやってみると、「もう大変です。芝居をしながらお点前の仕方、というのは…。本当にきちっと全部位置まで決まっていますし、そういうのをひとつ忘れると、わからなくなったりしますので。そこはもう、踊りの振りのように覚えたほうがいいと」、玉三郎に教わったと話します。

 

七之助が語る、「八月納涼歌舞伎」

多様な狂言立ての「八月納涼歌舞伎」

 第一部と打って変わり、第二部では「八月納涼歌舞伎」で4回目の上演を迎える『東海道中膝栗毛』に出演します。「“やじきた”(『東海道中膝栗毛』)は、お祭りみたいな、納涼歌舞伎らしい感じがあるので、楽しみですね」と期待を込めました。出演する役柄についてはまだ明かされていません。

 

 第三部では、『新版 雪之丞変化』に出演。玉三郎演じる中村雪之丞の一座の先輩、秋空星三郎を演じます。映像を使った演出をとり入れ、さらに、歌舞伎の名場面を詰め込んだ舞台になると話しました。「歌舞伎座では初めてなのでは」と明かす仕掛けも検討されており、その詳細は公演が開幕するまでのお楽しみです。

 

 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は8月9日(金)から27日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2019年07月18日

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