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猿之助、隼人、来年のスーパー歌舞伎II『新版 オグリ』に向けて
来年2月に博多座、3月に南座で行われるスーパー歌舞伎II(セカンド)『新版 オグリ』に出演する市川猿之助と中村隼人が、公演に向けての思いを語りました。
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10月、11月と新橋演舞場で、オグリと遊行上人をダブルキャストで勤めた二人。この2カ月を振り返りながら、来年の上演への意気込みを伝えました。
出演者それぞれの魅力
隼人のオグリについて、「等身大のオグリ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの若さがあって、それが役の魅力と重なって清々しい。照手との関係性もそれぞれで違って見えるし、遊行上人の雰囲気も異なる。それぞれの良さがある」と猿之助が言うと、隼人も「お兄さんのオグリは、違う考えをもつ人(違う考え方の人)の意識を変えてしまうほどの魅力がある。そして餓鬼病になったときの、すべてを失った絶望感やにじみ出る空気感が違う」と続けます。
「小栗党の六人は、オグリと対等に話せる仲間。だからオグリ一人が目立つのではなく、一列に並びたいんです。そのなかで、出てくる個性は大切にしたい」という猿之助は、小栗党を演じる若手の俳優たちについて「とても変わりました、目が生き生きしていて」と、目を細めました。「来年はもっと素晴らしくなっていると思いますよ」という一言に、よりいっそう期待が高まります。
本当の幸せとは何か
そもそも『オグリ』を上演しようと考えたきっかけについて、スーパー歌舞伎II(セカンド)として、「1作目は新作(『空ヲ刻ム者』)、2作目は漫画とのコラボレーション(『ワンピース』)、そしてこの3作目はリメイクをやりたかった」と、猿之助は振り返ります。「おじ(市川猿翁)が28年前にできなかったことを今回やりたかった。内容として現代に合わないところを、僕なりの解釈でリメイクしました。前作にとらわれないというところがこだわりでした」。
博多座、南座の公演では、演出を大きく変える、と宣言した猿之助。「2カ月上演して、いる部分といらない部分が見えてきた。もっと時間を短縮し、内容を凝縮することを考えたいです」。それぞれの劇場に合わせて変わるところもあると明かしました。隼人も、「博多座は舞台機構や音響がよくて、スーパー歌舞伎との相性がいいと思います。そして南座は集大成になる舞台とも言える」と気合を入れます。
劇場や演出が変わっても、作品に込めた思いは変わりません。猿之助は「本当の幸せとは何か、というのがこの芝居のテーマ。自分が幸せだったら(他人はどうでも)いいのか、と問いたいんです。その問いをもっと前面に出したい」と力強く述べました。隼人は「僕自身もこの作品で成長させてもらいました。人に喜びを与えられるような人生を送りたいと思う。そういうことを見つけるきっかけになるのではないか」と作品のもつ力をアピールしました。
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スーパー歌舞伎II(セカンド)『新版 オグリ』は、博多座で2020年2月4日(火)から25日(火)まで、南座で3月4日(水)から26日(木)までの公演。チケットの詳細は、それぞれの公演情報をご確認ください。