ニュース

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」初日開幕

 

 8月1日(土)、歌舞伎座「八月花形歌舞伎」が初日の幕を開けました。

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」初日開幕

 入口の感染予防対策の様子

 3月より休演が続いていた歌舞伎座に、5カ月ぶりとなる懸垂幕がはためきました。短い時間でもお楽しみいただけるよう、一演目ずつが配された初の四部制での上演。入場時の密を避けるため、開場時間を早め、正面の扉を全て開けてお客様を迎えます。客席は、前後左右に間隔がとられましたが、それを感じさせないほどに、出演俳優たちの熱気とお客様の拍手とで場内はいっぱいとなりました。

  

 幕開きとなる第一部は、『連獅子』。愛之助演じる狂言師右近と壱太郎演じる狂言師左近が、霊地清涼山の石橋で、文殊菩薩の霊獣である獅子の物語を、格式高く舞い描きます。やがて二人が胡蝶に誘われ去っていくと、そこに現れたのは橋之助演じる浄土の僧遍念と、歌之助演じる法華の僧蓮念。互いの宗派の違いをユーモアたっぷりに論じ合い、いずれも初役ながら、客席から笑いを誘いました。やがて静けさに包まれた舞台に、右近と左近が獅子の精となって現れます。親子の絆を強めた獅子が勇ましく毛を振る姿に、圧巻の幕切れとなりました。 

 

 第二部は『棒しばり』。扇雀演じる大名の曽根松兵衛は、自分の留守中に酒蔵の酒を盗み飲むのではないかと案じ、勘九郎の次郎冠者を棒に縛り付け、巳之助の太郎冠者を後ろ手にして縛り上げてしまいます。安心して出かけた松兵衛をよそに、縛られたまま酒蔵に忍び込み、酒を飲み始めた二人。酒に酔い、軽快な節にあわせて踊り転げる次郎冠者と太郎冠者は、名コンビと言われたそれぞれの父、十八世勘三郎と、十世三津五郎を彷彿とさせるひと幕となりました。

 

 第三部は、『吉野山』。桜が満開の吉野山で、猿之助の佐藤忠信が、七之助の静御前が打つ鼓にのって、屋島の合戦を語って見せる様子は迫力満点。そこへ、猿弥の逸見藤太が現れ忠信に打ち掛かりますが、忠信はそれを鮮やかに打ち負かします。実はこの忠信、静御前の持つ初音の鼓の皮に用いられた狐の子、源九郎狐でした。義経の元へ急ぐ静御前の後ろを、狐の本性を現しながら追いかけていく姿は最後の見せ場。親から片時も離れたくない無邪気な子の思いが見事に表現されました。

 

 締めくくりの第四部は、『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』より「源氏店」。許されぬ恋が露見し、互いに命を落としたものと思っている幸四郎演じる与三郎と、これが初役となる児太郎演じるお富。中車の和泉屋多左衛門に助けられ囲われていたお富が、片岡亀蔵演じる藤八にソーシャルディスタンスを保って化粧する演出に客席から笑いが起こります。彌十郎演じる蝙蝠の安五郎と与三郎が金の無心にやってきて、与三郎とお富が互いの正体に気づくと、待ってましたとばかりに、与三郎の名せりふが響きました。美しい男女が不運の中でも思い合う物語に場内も引き込まれました。

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座ビル地下二階の木挽町広場では、小型三味線「シャミコ」を使ったミニライブや、ご家族で楽しめる夏祭りが予定されています。ご観劇の際にぜひお立ち寄りください。

  

 歌舞伎座「八月花形歌舞伎」は26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2020/08/04