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歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕

 

 11月1日(日)、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 8月の再開場以降、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を万全に、各部入れ替えの四部制形式でお客様をお迎えしている歌舞伎座。今年も無事、正面玄関の上には鳳凰丸が染め抜かれた櫓が上がり、顔見世の始まりを知らせます。

 

 「吉例顔見世大歌舞伎」最初の演目は、華やかな舞踊劇『蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』。猿之助演じる蜘蛛の精が、女童、小姓、番新、太鼓持、そして傾城と、5役早替りで姿を変え、隼人演じる源頼光を狙います。幕開きでは、坂田金時(猿弥)、碓井貞光(中村福之助)とその女房たち(笑也・笑三郎)が、病に伏せる頼光と新型コロナウイルスを絡めたせりふで盛り上げ、小姓で出てきた猿之助も加わり、客席からも笑いが巻き起こります。最後には傾城から鮮やかな変化で本性を現し、千筋の糸を繰り出して幕となると、歌舞伎座中がどよめきと拍手で包まれました。

 

 続く第二部は、新古演劇十種の内『身替座禅』。恐妻家で浮気性の山蔭右京に菊五郎、奥方玉の井に左團次でお送りする舞踊劇です。権十郎勤める家来の太郎冠者に自分の身替りをさせ、愛人との逢瀬を楽しみ帰館した右京。浮かれ気分で浮気の一部始終を話していた相手は、まさかの…。怒り心頭の玉の井と慌てふためく右京とのやりとりに、客席中が笑いに包まれました。8月の再開以来、初めて歌舞伎座へ出演する菊五郎と左團次の円熟の芸による、品格を保ちながらもおかしみあふれる舞台をご覧いただきます。

 

 第三部は、義太夫狂言の名作『一條大蔵譚』より、今回は「奥殿」の上演です。阿呆と噂の一條大蔵長成に白鸚、常盤御前に魁春、吉岡鬼次郎に芝翫、女房お京に壱太郎、さらに八剣勘解由に錦吾、女房鳴瀬に高麗蔵と、顔ぶれがそろいます。この演目の眼目である、密かに源氏に心を寄せていることを明かす場面では、長刀を見事にふるい颯爽とした姿で本性を現した大蔵卿。再び、作り阿呆に戻って愛嬌ある姿をみせ、ギャップを見事に表現すると、客席からも笑顔と拍手が沸き起こりました。歌舞伎の魅力を存分に味わえる華やかな舞台をお楽しみください。

 

 締めくくりの第四部は、『義経千本桜』「川連法眼館」です。17年ぶりに佐藤忠信と源九郎狐に挑み、歌舞伎座では初めて古典の主役を勤める獅童。さらに、莟玉の静御前、染五郎の源義経、團子の駿河次郎、國矢の亀井六郎と、フレッシュな配役でご覧に入れます。静御前のお供をしてきた忠信は、実は静が持つ初音の鼓に用いられた狐夫婦の子が化けた姿で、親を慕って付き添ってきたことが明らかになります。早替りや狐独特の動きや衣裳、せりふ回しに加え、親子の情愛を描く心打たれる物語をお届けするみどころたっぷりのひと幕に、場内も引き込まれました。

歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、この時期恒例の『干支物』や『お正月飾り』を販売中です。品数をそろえて皆様をお出迎えしておりますので、ご観劇の際にぜひお立ち寄り下さい。

 

 歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は、26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

2020/11/04