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歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

 

 4月3日(土)、歌舞伎座「四月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 歌舞伎座では今月も、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底してお客様をお迎えしています。引き続き、幕間ありの三部制、客席数50%を維持しての上演です。

 

 4月の歌舞伎座は、猿翁十種の内『小鍛冶』で幕を開けます。帝へ御剣を献上するよう命じられた、当代随一の刀匠、中車演じる三條小鍛冶宗近。前半、祈りを捧げる宗近のもとへ現れた、猿之助演じる童子実は稲荷明神の神秘性に、客席は一気に引き込まれます。猿弥演じる弟子や壱太郎演じる巫女が、時世を織り込んだせりふや華やかな踊りを見せながら鍛冶の準備を進め、やがて狐の精霊の姿で現れた稲荷明神と宗近が、呼吸を合わせてリズミカルに槌を打ち合わせる場面はみどころの一つ。稲荷明神が見せる狐らしい跳躍が、客席を沸かせるひと幕です。

 

 二幕目は、高麗屋二代が日替わりで弁慶を勤める『勧進帳』です。初日のA日程では白鸚の弁慶に幸四郎の富樫、翌日のB日程では幸四郎の弁慶に松也の富樫という組み合わせで、義経は、いずれも雀右衛門が勤めます。本興行において最年長となる白鸚の弁慶は、円熟の域に達する芸と気迫で客席を沸かせ、対する幸四郎の弁慶は、切れ味のよい動きと力強さでさらに深化する弁慶を見せます。幕切れ、弁慶が花道を飛び六方で引っ込むと、客席からはその思いに呼応するかのような熱い拍手が送られました。

 

 第二部の幕開きは時代物の傑作『絵本太功記』より十段目、「太十」と呼ばれる人気の場面を、芝翫の武智光秀、そして、菊之助の武智十次郎、梅枝の初菊、彌十郎の佐藤正清、扇雀の真柴久吉、東蔵の皐月、魁春の操の顔合わせでお届けします。女方の三人が見せる役柄の違いや戦乱の裏にあるドラマ、満を持して登場する光秀の凄味と、大落としでの家族への情愛や悲壮感が観る者の胸を打ちます。緊張感に満ちた重厚な義太夫狂言の世界を存分にお楽しみください。

 

 続いて、一転して華やかで幸福感あふれる舞踊『団子売』です。賑わいをみせる大坂天神橋に、派手やかな義太夫の演奏にのせて現れたのは、梅玉と孝太郎が演じる杵造・お臼の夫婦。息ぴったりの二人が軽快に餅をついては団子をつくり、愛嬌とおかしみのある踊りで客席を魅了します。最後に夫婦が客席に向け礼をし舞い納めると、劇場全体が幸せな雰囲気に包まれ幕となりました。

 

 第三部は、仁左衛門の清玄/釣鐘権助、玉三郎の白菊丸/桜姫という人気の配役では実に36年ぶりとなる名作『桜姫東文章』です。今月は「上の巻」として上演され、発端では、清玄と白菊丸が道ならぬ恋に落ち心中を図るものの、清玄だけが生き残ってしまう経緯が描かれます。続く序幕では発端から17年の時が経ち、新清水長谷寺での花見や、桜谷草庵で桜姫が権助に身をゆだねる妖艶で官能的な場面など、華やかで艶やかな世界が展開され、客席からも思わずため息が漏れます。

 

 そこから歌六演じる役僧残月や鴈治郎演じる入間悪五郎の思惑と、17年前の因果が複雑に絡み合い、それぞれの運命が大きく動き出していきます。二幕目では高貴な清玄が、白菊丸の生まれ変わりである桜姫への執着から破滅の道をたどる変貌のさまが見事に表現されます。最後の場面となる「三囲」は、南北ならではの退廃美や、詩情豊かなせりふの数々、すれ違いの面白さなどみどころにあふれ、圧巻の舞台に、客席からは惜しみない拍手が送られました。6月には、「下の巻」の上演も予定されています。

歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

 桜の猫アーチも登場

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、4月11日(日)まで、「ねこ展 アート&グッズフェア」を開催中。また、4月13日(火)から5月9日(日)まで、「関東・甲信越地方物産展」を開催します。ご観劇の際にはぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「四月大歌舞伎」は、28日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2021/04/06