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海老蔵が語る、歌舞伎座『雷神不動北山櫻』

海老蔵が語る、歌舞伎座『雷神不動北山櫻』

 

 7月4日(日)から始まる歌舞伎座「七月大歌舞伎」第三部『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』に出演する市川海老蔵が、公演に向けての思いを語りました。

2年ぶりの歌舞伎座出演へ

 通し狂言『雷神不動北山櫻』で、善悪個性豊かな5役を早替りで勤め、空中浮遊や豪快な荒事芸を披露する海老蔵。本作は平成20(2008)年、成田山開基1070年の折に自身が新橋演舞場で新たな脚本と演出で上演。以来、好評を博し再演を重ねてきた人気の演目で、今回が7度目の上演となります。2年ぶりとなる歌舞伎座出演について、「毎年7月に出演していたので、通常の流れに戻った形での出演となりました。懐かしい気持ちで、責任も感じています」と、まずは率直な心境を口にします。

 

 「特に大切にしているのは、荒事の根底にある、善は助かり悪は滅びるという勧善懲悪の精神です。(今回の上演では)コロナ禍で上演時間にも制約がありますので、4時間近い演目を休憩時間含め2時間ちょっとにまとめなければなりません。大変ではありますが、皆様にお楽しみいただけるように精一杯勤めます」と、歌舞伎十八番の歴史や格式を重んじながらも、今回の上演に向けて、演出面でさまざまな工夫を凝らしていることも明かしました。

 

成田屋の誇りと感謝を胸に

  歌舞伎十八番の『毛抜』『鳴神』『不動』が織り込まれた成田屋ゆかりの作品だけに、初演に際しては、事前に父・十二世市川團十郎に相談したという海老蔵。「古典をしっかりやったうえでないと了承できないというのは、暗黙の了解でした。そこでまずは『鳴神』『毛抜』をしっかりと演じ、父に見ていただいたうえで、この作品の制作が始まりました。3作の主人公である粂寺弾正、鳴神上人、不動明王は成田屋にとって大切なお役。古典として守るものは守っていきながら、新たに早雲王子、安倍清行をつくり上げました」と、当時を振り返ります。

 

海老蔵が語る、歌舞伎座『雷神不動北山櫻』

 

 さらに、「私にとって転機になったと言ってもよい演目だと思います。30歳で座頭として一つの小屋を背負ったという、出世作に近い作品で、先祖に感謝です」と、真摯に作品への思いと感謝を述べる海老蔵が、このたび初演から13年の時を経て再び披露する『雷神不動北山櫻』に、期待がふくらみます。

  

 みどころは「全部です」と語り、「空中浮遊や早雲王子による立廻りがあったり、単独でも上演される『鳴神』『毛抜』や、安倍清行の早口の弁舌があったりと、各所にみどころがあります。2時間に凝縮したことで、歌舞伎をご覧になられたことのない方にもさらに観やすい仕上がりになっていますので、普段歌舞伎を観てくださる方はもちろんのこと、歌舞伎を観たことのない方にも、ぜひ観ていただきたいです」と、言葉に力を込めました。

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」第一部、第二部は7月4日(日)から29日(木)まで、第三部は4日(日)から16日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/06/29