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梅玉、芝翫が語る、歌舞伎座「九月大歌舞伎」

梅玉、芝翫が語る、歌舞伎座「九月大歌舞伎」

 

 9月2日(木)から始まる歌舞伎座「九月大歌舞伎」に出演する中村梅玉、中村芝翫が、公演への思いを語りました。

梅玉、芝翫が語る、歌舞伎座「九月大歌舞伎」

 

六世歌右衛門二十年祭、七世芝翫十年祭への思い

 「九月大歌舞伎」第一部では、「六世中村歌右衛門二十年祭」「七世中村芝翫十年祭」として、名優二人のゆかりの演目である『須磨の写絵』、『お江戸みやげ』が上演されます。「この困難な状況下ではありますけれども、亡き父歌右衛門の二十年祭と、先代芝翫の兄の十年祭をやらせていただけますことは、ありがたいことだと思います」と梅玉が語ると、芝翫も「偉大な岡本町のおじさま(六世歌右衛門)が二十年祭、そして父芝翫の十年祭にあたり、こういう形で公演をやらせていただけることに感謝でございます」と続けます。

 

 『須磨の写絵』に出演する中村梅玉は、平成10(1998)年4月歌舞伎座公演以来、23年ぶりに在原行平を演じ、「都を落ち延びている公家が、須磨の浜辺で海女の姉妹と戯れているという、古風で風雅な世界。まるで百人一首や古今和歌集にでてくるような、風情のある舞台ができれば」と語りました。

 

 『お江戸みやげ』は、お辻を当り役にした七世芝翫の十年祭にふさわしい人情物語です。今回は芝翫がお辻、兄福助が常磐津文字福を演じます。福助は、「今回自分も出させていただけることを大変うれしく、ありがたく思っています。『お江戸みやげ』では、父がお辻を勤めた際にお紺で出演しております。あの、父の独特の世界観を久しぶりにDVDで見て、こみ上げるものがありました」と、メッセージを寄せました。この演目の公演中は、「父の機嫌が良かった」と懐かしむ芝翫。「今、コロナ禍で、さまざまな不安が続いているなかで、笑いとともに何かぽっと、気持ちがあたたかくなれるような芝居づくりをしていきたいなと思っています」。

 

梅玉、芝翫が語る、歌舞伎座「九月大歌舞伎」

 

偉大な故人たちを偲んで

 六世歌右衛門、七世芝翫という二人の偉大な名優について、思い出とともに故人の人柄や教えを語る梅玉と芝翫。六世歌右衛門について梅玉は「普段から歌舞伎の芸のことをずっと考えていて、舞台もその通りにしていました」と、芸にストイックでありながら、「ぬいぐるみを毎日抱えて楽屋入りしていた」と、プライベートではお茶目な一面があったことを披露しました。芝翫は、幼少期に歌右衛門が作ってくれたすき焼きを一緒に食べたことが思い出と話し、「いまだに今まで食べたすき焼きのなかで世界一」と、しみじみと思いを馳せます。

 

  一方で、「(七世芝翫は)実の兄のような存在でした」と話す梅玉。「芝翫の兄は教育者の立場で、アドバイスもずいぶんいただきましたし、実の兄のように慕っておりました」。芝翫は、父に教わった、「常日頃、人に感謝しなければいけない、謙虚な気持ちがあって、芸には信念をもたなければいけない」という教えを胸に、舞台に立っていると明かしました。

 

 最後に梅玉は、父も芝翫の兄も「品格のある芸風だったと思います。そこを、我々後継者は大切に修業していかなければいけない」と、真剣な面持ちで決意をにじませました。故人への敬意を示し、公演に向けて気を引き締めた二人の様子から、本公演への期待がさらに高まります。

梅玉、芝翫が語る、歌舞伎座「九月大歌舞伎」

 

 このたび歌舞伎座「九月大歌舞伎」第一部特別ポスターが公開されました。金色に縁どられたポスターには『須磨の写絵』から在原行平を演じる梅玉、海女松風を演じる魁春、『お江戸みやげ』からはお辻を演じる芝翫、おゆうを演じる勘九郎、そして福助が並びます。須磨の海辺を感じさせる明るい水色の短冊、梅の花がほころぶ湯島天神をイメージしたピンク色の短冊にたたずむ姿にそれぞれの物語が感じられる1枚となりました。

 こちらの特別ポスターは、歌舞伎座で掲示されるほか、歌舞伎座地下2階の木挽町広場や、1階お土産処「木挽町」などでも販売されますので、ぜひご注目ください。歌舞伎座「九月大歌舞伎」は、9月2日(木)~27日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/08/30