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「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 2023年1月2日(月・休)から上演される浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」に出演する、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉が、舞台への意気込みを語りました。

 令和2(2020)年1月に上演して以来、3年ぶりに浅草での上演が叶う、「新春浅草歌舞伎」。松也は、「浅草でまたできることを信じて、この2年間過ごしてまいりました。ようやく皆さんにご報告ができることを非常にうれしく思っております。皆さんに楽しんでいただけるよう一所懸命精進して、翌年に繋がるような浅草歌舞伎にしていきたいと思います」と、前を見据えて話しました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 「(令和3[2021]年公演の開催中止が決まった際に)皆で話し合ったのは、繋いできてくださった先輩方のためにも、僕らの代で浅草歌舞伎がなくなることだけはないように、ということでした」と、松也。「後輩にバトンを渡すことは一つの大きな目標でしたから。この2年間は、歌舞伎座の1月公演で、外題に“浅草”の文字を入れて、“我々は浅草で1月にやるんだ”という思いを繋いできました。歌舞伎座で“浅草”という看板を背負ってできたということは、我々にとって大きな経験になりましたし、この2年間も意味があったと思います。そのことをしっかりと舞台にのせたいと思っています」と、気合を込めます。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 「私にとって、この浅草歌舞伎という公演はすごく大事な公演」と、話すのは歌昇。「私は(浅草歌舞伎で)播磨屋のおじ様(二世中村吉右衛門)に教わり、播磨屋ゆかりの演目を多くかけさせていただいてきました。おじ様が亡くなって初めての浅草歌舞伎となりますが、今回はおじ様から教えていただいた『傾城反魂香』の吃又(浮世又平後に土佐又平光起)を勤めさせていただきます。おじ様に教わったものを、残った播磨屋のメンバーで引き継いでいくことが使命だと思っておりますので、一所懸命この公演を勤めて、成果を上げたいと思っています」と、力強く語りました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 巳之助は、「3年ぶりに、またこのメンバーで新春浅草歌舞伎の場で集まれたことを、心からうれしく思っております。僕の喜びと同じように、お客様にも“お帰り”と喜んでいただけるような公演にしたい」と笑顔を見せます。「『男女道成寺』は、坂東流の振りでやらせていただきますので、家元としての責任も伴います。道成寺ものとして、格や品を大切にしなければいけないところはあるのですが、何より華やかな作品。前に上演される『引窓』という素敵な作品を我々の『男女道成寺』で華やかにラッピングしてお持ち帰りいただくつもりで、勤めたいです」と、意気込みました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 10月、11月と浅草の地で「平成中村座」に出演していた新悟は、「この浅草という町にも活気が戻ってきて、うれしい思いがしました」と、話します。『引窓』は、「それぞれの登場人物の思いやりが感じられる、心温まるお芝居だと思いますので、一人ひとりの登場人物に対しての心情をしっかり大事にして勤めたいと思っております。『男女道成寺』は、二人で一緒につくり上げていく部分もあると思います。巳之助兄さんにしっかり食らいついていき、お客様に華やかな気持ちで帰っていただけるように勤めたい」と、思いを語ります

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 来年30歳を迎える種之助。「初めて浅草に出させていただいたときは20代前半だったので、若さと勢いをもって、挑戦させていただいていました。まだまだ若手ですが、30歳ということもありますし、今回やらせていただく二つのお役はいずれも経験のあるお役なので、今の歳でできる、勉強してきた確かなものを形にできたらと思っています。『傾城反魂香』のように、(兄との自主公演)双蝶会で勉強したものを本興行で出させていただくのは初めてなので、うれしいです。僕たちが先輩方に習ったこと、先輩方のお芝居を見て感じてきたことを、お客様にも感じていただけるように勤められたら」と、意気込みました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 隼人は『引窓』の南方十次兵衛を勤めます。「上方の役者の方が大事にしている、上方の世話狂言の代表的な作品です。片岡仁左衛門さんに教えていただきます。 義理人情、そして、親子の情愛が描かれた作品なので、そうした役の気持ちを大事に、そして町人と武士の使い分けを大事に勤めていけたらと思います。1月の公演中に同じ同心役のテレビ時代劇も放送になるので、それを見た方も浅草に来られるかもしれません。歌舞伎の魅力を伝えられるように、しっかり勉強して、勤めていきたいと思います」と、偶然のめぐり合わせに気合が入ります。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 「子どもの頃から、勘九郎兄や七之助兄が浅草公会堂で汗をかいている姿に憧れていました。二人のように、立派な役者になって世に羽ばたいていけるように、お兄さん方と力を合わせながら、一所懸命に勤めたいと思います」と、橋之助。『引窓』では濡髪長五郎を勤めます。「父(中村芝翫)も喜んでいました。教えていただけることを楽しみにしております。また、10月の平成中村座で勘九郎兄が勤めていた濡髪(『角力場』)を、同じ浅草で、大好きな勘九郎兄の後に勤めることは、気の引き締まる思いです。しっかり受け継いで、濡髪として存在していきたいと思います」と熱く話します。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

 「4年ぶりに“新春浅草歌舞伎”に、そして莟玉という名前で初めて参加できることをうれしく思っております」と、微笑む莟玉。『傾城反魂香』の修理之助を勤めるのは「今回で4回目です。初めて勤めたときは10代でしたので、そのときから自分が変化できているか、気を引き締めて勤めたいお役です」。歌舞伎の世界に入る前から憧れていた『連獅子』は、「近年は実際の親子などで上演することが多く、僕がチャレンジする機会はないと思っていたので、今回させていただけると聞いて、とてもうれしく思いました。松也兄さんを親と思って慕い、ぶつかっていきたい」と、気合たっぷりな様子です。

 

 出演者それぞれの思いをのせて、熱気あふれる「新春浅草歌舞伎」が、ついにお正月の浅草に帰ってきます。

 浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」は、2023年1月2日(月・休)から24日(火)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が語る意気込み

 

2022/12/08