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團十郎が歌舞伎座ギャラリー「十二世市川團十郎十年祭 特別展」オープニングイベントに出席
2023年5月2日(火)より歌舞伎座ギャラリーで、「十二世市川團十郎十年祭 特別展」が開催、5月1日(月)にはオープニングテープカットが行われ、市川團十郎、市川翠扇が出席しました。
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「十二世市川團十郎十年祭」にあたり、十二世團十郎の思い出に残る当り役の数々の舞台写真や、成田屋が大切にしてきた作品『若き日の信長』にまつわる展示を実施し、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」のご観劇とあわせて十二世團十郎を偲んでいただく「十二世市川團十郎十年祭 特別展」。このたび、團十郎と翠扇によるオープニングテープカットが行われました。
十二世のゆかりの品々に囲まれたこの空間に立ち、團十郎は、「役者の目線で、役者の先人として見て勉強になりましたし、それとともに、十二代目市川團十郎がどう生きたかを、この歌舞伎座ギャラリーで少しでも多くの方に感じていただけるのではないのかと、感謝の思いです」と、感慨深げに語ります。翠扇が、「10年ぶりにこのような機会をいただいて父の存在を振り返りますと、当時の父との思い出や、さまざまな感情がこみ上げてくると言いますか…」と言葉を詰まらせると、「わかる、泣きそうになる」と、團十郎も頷き、兄妹で思いを共有する場面も見られました。
展示会場入口では成田屋の三升の紋が皆様を迎え、写真撮影をお楽しみいただけます。その先には歌舞伎十八番をはじめとした十二世團十郎の当り役12枚の写真パネルが並び、年表と思い出の写真の数々が掲示されています。木挽町ホール内には、十二世團十郎の昭和60(1985)年襲名披露興行『助六由縁江戸桜』の押隈をはじめ、愛用していた稽古用扇子、十二世團十郎が絵付けをした重箱、直筆画「松図」など、貴重な品々が展示されています。
團十郎が「私が一番好きな、思い入れのある作品の一つです」と語るのは、十二世團十郎が描いた「海老図」。その「海老図」をもとにつくられ、平成24(2012)年の『壽三升景清』上演の折に舞台で実際に飾られた引幕が展示されていますので、ぜひ間近でじっくりとご覧ください。また、現在「團菊祭五月大歌舞伎」で上演中の『若き日の信長』に関する資料展示や、昭和60年6月歌舞伎座の十二代目市川團十郎襲名披露興行で上演された『若き日の信長』のダイジェスト映像も上映され、在りし日の十二世團十郎を偲びます。
『若き日の信長』について團十郎は、十二世團十郎が初めて信長を演じる際に、作者の大佛次郎が、“十一代目よりも十二代目はおおらかで明るいので、おそらくとても良い信長になるんではないかと期待している”という旨の言葉を残したことに触れ、「この役は父から習いました。私も明るくおおらかに、シリアスな状況もシリアスに演じすぎず、乱世に生きた男を表現できるように頑張りたいと思っています」と、意気込みを述べ、締めくくりました。
十二世團十郎の生涯に思いを馳せる特別展へ、ぜひお越しください。