ニュース

團十郎が語る、歌舞伎座『若き日の信長』

團十郎が語る、歌舞伎座『若き日の信長』

 

 2023年5月2日(火)から始まる歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部、十二世市川團十郎十年祭『若き日の信長』に出演する市川團十郎が、公演に向けての思いを語りました。

 「十二世市川團十郎十年祭」の節目に

 團十郎を襲名してからはじめての團菊祭への出演について、「実際に舞台に立ちどう感じるのか楽しみ」と、期待を寄せる團十郎。同時に、父・十二世團十郎の十年祭として上演される『若き日の信長』に挑むことには、「大佛次郎先生が、十一代目市川團十郎に書き下ろした祖父の代表作であり、私はこの作品を父から教わりました。十年祭にふさわしい演目ではないかと思います」と、感慨深く話します。

 

團十郎が語る、歌舞伎座『若き日の信長』

 

 父から、どのようなことを教わったかと聞かれると、「細かいことでは、信長の柿の食べ方も教わりました。祖父にもこだわりがあったと聞いています。小さなことのように見えて、柿一つでも結構重要です」と、笑顔で語ります。

 

 「普段父は、こうあるべきとか、こうすべきということをあえて言わない人でした」と話す團十郎は、「最近は頻繁に父を思い出します。若い頃にはわかっていなかったことも正直あったのですが、私も45歳になって、あぁ、こういうことを言ってくれていたのか、と感じます」と、父親との思い出を噛み締めながら語ります。

 

それぞれの信長像

 『若き日の信長』の影響を受けて、子どもの頃から信長に親近感をもつ環境で育ったと話す團十郎。「信長という人は、時代に先行しすぎて、当時の人々に理解されなかった人物だと思います。そんな彼の原点がどこにあるのかと考えたときに、やはり若いときに集約されていると、大佛先生は感じたのではないでしょうか。うつけ者などと呼ばれていましたが、自分たちの物差しで測れない大きな器をもった人間を見たときに、当時はきっとそのような表現しかできなかった。そうした環境でも進んでいくのが信長の魅力ではないか」と、自らが考え抜いた信長像、作品像について明かします。

 

 ドラマや映画など、信長を題材とした作品が数多く存在することについて、「それぞれの方が自分が追い求める新しい信長像をつくっていきますよね。信長は最も好かれている戦国武将の一人なので、今その役に挑めること、また、このような特別な作品を、大佛先生と祖父がつくり、それを父が私に教えてくれたことに感謝しています」と、時代を超えて人気を誇る武将を演じられる喜びと、受け継がれてきた名作への熱い思いを語り、締めくくりました。

 歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は、5月2日(火)から27日(土)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

 

2023/04/18