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時蔵、梅枝、小川大晴が語る、歌舞伎座「六月大歌舞伎」

時蔵、梅枝、小川大晴が語る、歌舞伎座「六月大歌舞伎」

 

 2024年6月1日(土)から始まる歌舞伎座「六月大歌舞伎」昼の部『妹背山婦女庭訓』「三笠山御殿」、夜の部『山姥』に出演する中村時蔵、中村梅枝、小川大晴(ひろはる)が、公演に向けての思いを語りました。

時蔵、梅枝、小川大晴が語る、歌舞伎座「六月大歌舞伎」

 

親子三代での舞台

 「六月大歌舞伎」では、時蔵が初代中村萬壽(まんじゅ)、梅枝が六代目時蔵を襲名、また梅枝の長男・大晴が五代目梅枝として初舞台を踏みます。今の心境を問われると、時蔵は「稽古初日が、名前の変わる境目だと思っています。“萬壽”は、平安時代の元号でもあり、めでたい名前。襲名に向けてやり残したことを進めながら、素晴らしい舞台をご覧いただけるよう努力したい」と、胸の内を明かします。

 

 梅枝は、「先日、6月公演の台本が届き、宛名が“中村時蔵様”となっていたので、時蔵になることを改めて実感しました。父に『妹背山婦女庭訓』のお三輪も教えていただき、いよいよだと感じます。六代目時蔵として、自分に何ができるのか、どれだけ歌舞伎に貢献できるかと考えながら、日々過ごしていけたら」と、真摯に語りました。大晴は、中村梅枝という名前に慣れたかという質問に対し、にっこりしながら「はい」と答えました。

 

時蔵、梅枝、小川大晴が語る、歌舞伎座「六月大歌舞伎」

 

ゆかりの演目

 襲名演目について聞かれると、「常磐津の『山姥』は大変名曲ですが、なかなか歌舞伎で上演されない。今回は、そのような作品を表に出したいと思って選びました」と、時蔵が切り出します。「『妹背山婦女庭訓』は、私の時蔵襲名のときに、また父が四代目時蔵を襲名したときにも上演した演目ですので、我が家には大変ゆかりがあります。今回、梅枝がどのように演じてくれるか楽しみです」と、梅枝への期待も寄せました。

 

 梅枝は、「時蔵襲名の場で、初役でお三輪に挑めることに縁を感じます。女方なら誰でも憧れる役。世界観やファンタジックな部分を、お客様に存分にお楽しみいただけたら」と、意欲を見せます。「怪童丸の稽古は、始まっています」と、大晴も回答。ポスター撮影時の扮装には、「テンションが上がりました」と、照れながらも笑顔で答えました。

 

時蔵、梅枝、小川大晴が語る、歌舞伎座「六月大歌舞伎」

 

伝えていきたい思い

 「歌舞伎は、やはり古典が大切だと思います。リアルな芝居でも、そこに時代的なせりふの言い回しや古典らしさがないと、歌舞伎としての面白みや、本来の姿がなくなるような気がしています」と、時蔵が古典演目への熱い思いを語ります。続けて梅枝も、「歌舞伎とは何かと聞かれると、やはり古典にその要素が多く含まれていると思います。愚直に古いものを守っていく俳優がいてもいいのかな」と、自身の目指す俳優像も掲げました。

 

 今後ますます成長していく大晴への思いとして、「まず基礎が大事。日本舞踊をやることで、身のこなしや歩き方が身につくので、しっかり稽古してほしい。将来はプロ野球選手になるかもしれませんが」と、時蔵が会場の笑いを誘います。「本番に強いのは、同じ役者としても羨ましいです。直前まで遊んでいても、平然と舞台に出てきてきちんと踊るので、やることはきっちりやる子です」と、梅枝も優しい眼差しを向けました。

 

 最後に、時蔵からお客様に向けて、「6月の歌舞伎座、7月の大阪松竹座で襲名披露させていただき、43年間名のりました名前を、息子梅枝に譲ることになります。厳しい目で見ても、この頃随分良くなりましたので、時蔵を譲ることを決めました。譲る以上は私自身も、新しい名前・萬壽として、負けないように一所懸命勤めてまいります。この先の私たちの成長も、見守っていただきたいです」と、力強く締めくくりました。

 

 歌舞伎座「六月大歌舞伎」は6月1日(土)から24日(月)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2024/05/17