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左近が語る、歌舞伎座『三人吉三巴白浪』

左近が語る、歌舞伎座『三人吉三巴白浪』

 

 2024年11月1日(金)から始まる歌舞伎座「十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ」『三人吉三巴白浪』に出演の尾上左近が、公演への思いを語りました。

  十一月歌舞伎座特別公演では、歌舞伎座での特別なひとときをお過ごしいただけるよう、歌舞伎の魅力に気軽に触れていただける特別なプログラムをお届けします。

 

今だからできることを

 『三人吉三巴白浪』のお嬢吉三に、左近がこのたび初役で挑みます。「歌舞伎役者にとって特別な劇場である歌舞伎座で、憧れてきたお役をやらせていただけることに感謝しています」と、切り出す左近。「今回はありがたいことに(尾上)菊五郎のお兄さんにお稽古を見ていただきます。大川端の場面では、女性に化けて盗みを働き、男性に戻る、その切り替えもまた一つの見せ場だと思いますが、女性的、男性的な部分の両方に上品さをもって演じられるお兄さんのお嬢吉三にずっと魅力を感じていました」。

 

 「お客様がハッとする場面としては、“月も朧に…”の名ぜりふが挙げられると思いますので、そこをまずは、しっかり習いたいです。菊五郎のお兄さんのお嬢吉三の魅力は、ヒールな抜け感や色気だと思いますが、お兄さんの成熟したせりふ回しを、まだ芸の浅い僕がただ真似をするだけではだめですので、今の歳だからこそできることを全力でやりたいと思っています。また今回は、お坊吉三に(中村)歌昇のお兄さん、和尚吉三に(坂東)亀蔵のお兄さんが出演されますが、三人の世代がそれぞれ違う大川端も今回ならではですので、お客様に楽しんでいただけるように演じたいです」と、目標を掲げます。

 

左近が語る、歌舞伎座『三人吉三巴白浪』

 

 刺激を感じていただける役者に

 今年は、自身にとっての初役が続きます。「新しいことばかりの1年でありがたいです。9月の歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』の雛鳥は、(坂東)玉三郎のお兄さんに発声の方法から教わりました。公演中もたくさんの教えをいただきましたが、千穐楽間際、何も考えずに演じようと思った日に初めて舞台で大号泣して、そのときに雛鳥の思いが少しわかった気がしました。玉三郎のお兄さんに“それが気持ちというものだよ”と、言っていただいたことがとても印象に残っています。この経験を活かしていきたいです」と、感慨を込めて語ります。

 

 「父(尾上松緑)から、お前の雰囲気からしても、これまでうち(松緑家)が勤めてこなかった役もできるだろうと言ってもらいました。もちろん受け継がれてきたものを守ることが一番の自分の使命ですが、それを芯に置きつつ、代々演じている役のほかにも、今回のお嬢吉三をはじめいただいたお役を一所懸命に学び、それをまた家の芸に還元し、新しいものをもってきたと思っていただけたら。芝居を通して誰かの糧になり、お客さまに刺激を感じていただける役者になりたいです」と、未来を見据えます。

 

 「今月は舞台以外の特別なプログラムもありますので、いろいろな面で歌舞伎座を楽しんでいただきたいです。ずっと歌舞伎を観てくださっているお客さまには、いつもと違う部分をお見せできればと思います。敷居が高く思われる歌舞伎ですが、昔は庶民が気軽に観に来るエンタテインメントだったといいますので、初めてのお客様にはその感覚で観に来ていただきたいです」と、呼びかけ、締めくくりました。

 「十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ」は11月1日(金)から23日(土・祝)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売中です。

2024/10/23