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幸四郎、松也が語る、歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』
2024年11月30日(土)から新橋演舞場、2025年2月4日(火)から博多座で始まる歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』に出演の松本幸四郎、尾上松也が、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのりとともに公演への思いを語りました。
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『朧の森に棲む鬼』は、劇団☆新感線と松竹の共同公演の第五弾として、平成19(2007)年に初演。シェイクスピアの『リチャード三世』を下敷きとしたダークヒーローを描き、大きな反響を集めた本作が、平成27(2015)年の『阿弖流為』以来となる歌舞伎NEXTの第二弾として、このたび17年ぶりに上演されます。前回、幸四郎(当時 市川染五郎)が勤めた主人公のライを、今回は幸四郎と松也がダブルキャストで勤めます。
満を持しての歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』
「挑みがいのある公演になりました」と切り出した中島。「『阿弖流為』でも非常に手応えを感じましたが、今回はまた新しいかたちで、劇団☆新感線の手法と歌舞伎の手法が融合されるのではないかと楽しみです」と、勢いよく続けます。本作を初めて歌舞伎として上演するにあたり、「歌舞伎俳優の皆さんのニンに合わせて直しを入れたつもりです。特にシュテンとキンタの役など、違うアプローチで増強しています」と話し、前作をご覧になった方にとっても、新鮮なみどころにあふれていることがうかがえます。
演出を手がけるいのうえは、本作について「人気も高く、よくできていると自画自賛している作品」と笑顔を見せ、「そうした作品を再び扱うのは自分への挑戦と言いますか、本作を歌舞伎にする意味がなければ上演する意味がないという思いがあります。まさに満を持しての歌舞伎NEXTです」と、力強く語ります。「『阿弖流為』は、やはり歌舞伎でしか出せない空気をもつ新しい『阿弖流為』になっていた。今回はさらに歌舞伎の趣向や演出をできるだけ取り込んで、進化した歌舞伎NEXTにしたい」と、抱負を掲げました。
この世にないものをつくる
「歌舞伎NEXTは、いのうえさん、そして中島さんの世界観と歌舞伎を混ぜ合わせると何ができるかをテーマに、この世にないものをつくることを目指しています。我々は大いにこの世界に浸って、その世界に皆さんを引きずり込みたい」と、興奮を隠さず話す幸四郎。「今回の心構えは“前回を忘れる”こと。新たな挑戦の気持ちで、しっかりと歌舞伎を見つめ直し、歌舞伎にどれだけの魅力や独特な表現方法があるかを踏まえたうえで、稽古に臨みたいと思います」と、紡ぐ言葉に並みならぬ気概を感じさせます。
今回初めて歌舞伎NEXTに参加する松也は、「前回、幸四郎のお兄さんが挑戦されている姿を見て、劇団☆新感線の作品に出てみたいという憧れを持ちました。この『朧の森に棲む鬼』は非常に印象的で格好良い作品、そして役どころです。いのうえさんの構想を私たちがどれだけ体現できるか、歌舞伎のどの部分を取り入れて表現すれば劇団☆新感線と歌舞伎が融合する意味が出てくるのか、稽古場で楽しみ、苦しみながら、時間をかけて皆でつくり上げていきたい」と、意気込みを見せました。
ダブルキャストの妙
今回は、主人公のライ、そしてライの前に立ちはだかるサダミツを、幸四郎と松也がダブルキャストで交互に勤めます。幸四郎は「自分のライがベストだとお互いに思っていればすごいものになる。さらにお互いに認め合ったうえで、それ以上のものを目指したい。自分がライでない回はサダミツ役で出るので、2つのライ、2つのサダミツをそれぞれ演じながら、『朧の森に棲む鬼』の凄味を、より凄まじいものにしたいと思います」と、目を輝かせました。
松也は、「自分にとってのレジェンドである幸四郎さんとダブルキャストで勤めるというお話をいただいて、非常にうれしかった」と、素直な気持ちを口にし、「プレッシャーは大きいですが、僕自身も自分のライをしっかりと出していきたい」と、気合を入れます。「両方のライが盛り上がれば、公演全体が、歌舞伎NEXTが盛り上がる。幸四郎さんは大先輩ですが、今回はライバルでもあり同じチームでもあるという意識で、切磋琢磨して盛り上げられたらと思います」。
「ライとサダミツの対峙で、お二人が真っ向から芝居をされるわけです。おそらくお互いのライを見て、それに対して自分はこう演じようと考え、次の回でそのアンサーとしてのライが出る。それが互いに積み上がっていく。これがダブルキャストの面白さです」と、中島は熱い口調で述べます。いのうえも、「ライとサダミツ、両方とも俳優さんによって違う魅力が生まれると思います。一方を観たらもう一方が観たくなる、そんな趣向になるのではないでしょうか」と、期待を込めました。
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新橋演舞場 歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』は、11月30日(土)から12月26日(木)まで、博多座 歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』は、2025年2月4日(火)から25日(火)までの公演。チケットは、新橋演舞場がチケットWeb松竹、チケットホン松竹ほかで10月25日(金)から、博多座が博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで12月14日(土)から発売予定です。