ニュース

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 

 2025年1月2日(木)、歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

【大きなサイズの舞台写真は、ページ下部でご覧いただけます】

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『寿曽我対面』左より、尾上右近、坂東巳之助、中村米吉

 松竹創業130周年を寿ぎ、初春にふさわしく華やかな演目が並ぶ歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」。昼の部の幕開きは、初春の吉例、歌舞伎の様式美あふれる『寿曽我対面』です。源頼朝の重臣・工藤祐経(芝翫)の館で催されている祝宴に、小林朝比奈(尾上右近)の手引きで曽我十郎(米吉)と曽我五郎(巳之助)の兄弟が対面を許されてやって来ます。花道から十郎、五郎が登場すると場内は大きな拍手に包まれ、仇の工藤を前に怒りに燃える五郎の力強い声が歌舞伎座に響き渡りました。

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『陰陽師』「大百足退治」尾上松緑

 続いては、平成25(2013)年に新作歌舞伎として上演された夢枕獏の大人気シリーズを原作とした『陰陽師』を、装いも新たに上演。「大百足退治」は、武勇の誉れ高い藤原秀郷(松緑)に三上山に出現するという化け物退治の勅命が下り、化け物の正体である大蜈蚣の魂魄(坂東亀蔵)と対峙する物語。秀郷と大百足の大立廻りは観客を魅了し、大蜈蚣の魂魄との対決では、荒々しくも美しい見得の数々が極まります。

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『陰陽師』「鉄輪」左より、中村勘九郎、松本幸四郎

 舞台が転換し、続く幕は、「鉄輪(かなわ)」。朧の月夜、源博雅(勘九郎)が吹く笛の音を慕う徳子姫(壱太郎)は、愛する男に裏切られ、蘆屋道満(白鸚)の妖力により生成りの鬼と化していました。安倍晴明(幸四郎)は相棒の博雅とともに呪の解明に乗り出しますが…。晴明と蘆屋道満の対決では、式神たちが入り乱れ、手に汗握る展開に客席の熱気が高まり、割れんばかりの拍手に包まれました。

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『封印切』左より、中村鴈治郎、中村扇雀

 昼の部の最後は、男女の悲恋の物語を描いた上方和事の代表作、『封印切』。大坂の飛脚問屋・亀屋の養子忠兵衛(鴈治郎)は、傾城梅川(孝太郎)と深い仲。梅川の身請けに必要な金が用意できずにいるところへ、丹波屋八右衛門(扇雀)がやって来て忠兵衛の悪口を言い立てます。耐えかねた忠兵衛は、懐にある公金の封印を切ってしまい...。1月公演では、忠兵衛と八衛右門の役を、2日(木)~14日(火)、15日(水)~26日(日)で、鴈治郎と扇雀が配役を替えて勤めます。

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『熊谷陣屋』左より、中村萬壽、尾上松緑、中村雀右衛門

 夜の部は、戦乱の世の無常が胸を打つ、義太夫狂言の名作『熊谷陣屋』から。源平争乱の時代。自らの陣屋に戻った源氏の武将・熊谷直実(松緑)は、妻の相模(萬壽)に息子小次郎の活躍と、平家の公達敦盛を討ったことを明かします。そこへ恩義ある敦盛の母藤の方(雀右衛門)が現れ、やがて源義経(芝翫)による敦盛の首実検が行われると...。客席からはすすり泣く声も漏れ、親子の情愛に満ちた時代物のひと幕に温かな拍手が送られました。

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『二人椀久』左より、中村壱太郎、尾上右近

 続いては、美しくて儚い幻想的な舞踊『二人椀久』。傾城の松山太夫(壱太郎)に入れ揚げた、大坂の豪商・椀屋久兵衛(尾上右近)。座敷牢に繋がれた久兵衛は、松山に逢いたい一心から牢を抜け出し、彷徨います。美しい月の光に照らされて、忽然と現れた松山。久しぶりの再会を喜び合い、逢瀬を楽しむ二人でしたが...。月の光に照らし出される椀屋久兵衛と松山太夫の二人。その艶やかな姿に客席からは盛大な拍手が送られました。

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 『大富豪同心』左より、中村隼人、尾上右近

 夜の部の切は、新作歌舞伎『大富豪同心』。原作は、幡大介の人気時代小説シリーズ。江戸随一の豪商・三国屋徳右衛門(鴈治郎)の孫、八巻卯之吉(隼人)は放蕩三昧。見兼ねた徳右衛門が金に物を言わせて、卯之吉を同心として働かせますが、腕っぷしも弱く、刃物を見ると気絶するほどの頼りなさです。一方、病に伏した将軍家政(新悟)は弟・幸千代(隼人)を江戸へ呼び寄せます。卯之吉が、新年を迎えた八幡様にやってくるとそこには幸千代がいて...。瓜二つの人物のテンポの良い早替りに客席は沸き、最後は総踊りで盛り上がり、華やかな打ち出しとなりました。

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 

 今月の歌舞伎座は、劇場内もさまざまなお正月飾りで彩られ、晴れやかな雰囲気で包まれています。1月4日(土)には、歌舞伎座の年頭の恒例行事である「木遣り始め」が、歌舞伎座1階ロビーの大間で行われました。鳶姿に身を包んだ、江戸消防記念会・第一区六番組「す組」の皆さんが、木遣り唄に合わせ、勢いよく纏(まとい)を振り上げて初春を寿ぎます。お客様からも拍手と歓声があがり、賑やかな幕間のひとときとなりました。

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場(かおみせ)では、1月期間限定で有名な老舗の銘菓を販売いたします。観劇の際はぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」は26日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

 

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『寿曽我対面』左より、尾上右近、坂東巳之助、中村米吉

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『陰陽師』「大百足退治」尾上松緑

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『陰陽師』「鉄輪」左より、中村勘九郎、松本幸四郎

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『封印切』左より、中村鴈治郎、中村扇雀

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『熊谷陣屋』左より、中村萬壽、尾上松緑、中村雀右衛門

 
歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『二人椀久』左より、中村壱太郎、尾上右近

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

『大富豪同心』左より、中村隼人、尾上右近

2025/01/10