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歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」初日開幕

2025年2月2日(日)、歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」の初日が幕を開けました。
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昼の部は、歌舞伎の様式美あふれる『鞘當』で幕を開けます。桜満開の吉原仲之町へやって来たのは、深編笠姿の不破伴左衛門(巳之助)と名古屋山三(隼人)。二人は出会いがしらに刀の鞘が当たったことから斬り合いとなり、茶屋女房(児太郎)が仲裁に入りますが…。色彩豊かな歌舞伎の魅力が詰まった名場面は、豪華な衣裳も目に美しく、廓風情に満ちた舞台に、劇場が華やかな空気に包まれました。
続いては、豊臣秀吉による一世一代の花見を描く舞踊劇『醍醐の花見』。花の名所として知られる京都の醍醐寺で、北の政所(魁春)と、利家正室まつ(雀右衛門)が咲き誇る花を愛でています。そこへ、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉(梅玉)の一行が現れ、それぞれが優雅に舞い踊ります。淀殿(福助)に連れられた秀頼(秀乃介)が、前田利家(又五郎)とともにやってくると、場内からは大きな拍手が送られ、あたたかな雰囲気に包まれたひと幕となりました。
最後は、話題作『きらら浮世伝』です。天下泰平の世に、小さな貸本屋を営みながら大きな夢をもつ蔦屋重三郎(勘九郎)は、時代の変化をいち早く察知し、個性豊かな若き才能を次々と見出します。ところが、質素倹約を求める寛政の改革により、江戸の空気は一変。奮闘する重三郎の熱い思いに、吉原の人気遊女お篠(七之助)たちとの人間関係も絡まり合い、遂に重三郎は起死回生の一手に出ます。無名の職人たちの思いも背負いながら厳しい弾圧を跳ね返していく重三郎たちの熱い物語が、大きな感動を巻き起こしました。
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夜の部は、『壇浦兜軍記』「阿古屋」で幕開きです。秩父庄司重忠(菊之助)と岩永左衛門(種之助)が待つ堀川御所に呼びだされた遊君阿古屋(玉三郎)が花道から登場すると、豪奢な衣裳、華やいだ傾城の雰囲気に、客席からはため息がもれます。恋人景清の行方詮議のため、琴、三味線、胡弓の三曲を実際に演奏する場面では、玉三郎が傾城の気品と色気、心情を細やかに表現。客席から、割れんばかりの拍手が送られました。
続いては、『江島生島』。江島(七之助)と離れ離れになった生島(菊之助)は、江島との逢瀬を忘れられず、その面影を求めて彷徨います。前半は、生島の夢のなかに現れた江島との華やかな踊りが、一気に客席を引き込みます。幻が消えると雰囲気は一転、雨が降りしきるなか、愛する人を想い、狂乱する生島。その様子を、観客は固唾をのんで見守ります。華やかな幻が狂気と絶望へと豹変する圧巻の舞台の余韻が客席を包み込みました。
最後は、中村屋ゆかりの演目『人情噺文七元結』。左官の長兵衛(勘九郎)は腕の立つ職人ですが、大の博打好きで、女房のお兼(七之助)との喧嘩が絶えません。それを見かねた娘のお久(勘太郎)は、身を売ることを決意し吉原へ…。長兵衛が、角海老の女将お駒(萬壽)や手代文七(鶴松)と絡み合いながら、物語は展開します。最後には、和泉屋清兵衛(芝翫)、鳶頭伊兵衛(松緑)も登場してハッピーエンドを迎えます。勘九郎が長兵衛を、七之助がお兼を、それぞれ初役で勤めるこの度の上演に、客席は笑顔とともに暖かな雰囲気に包まれ打出しとなりました。
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▲ 「節分祭」に参加した、「猿若祭二月大歌舞伎」出演の34名
昼の部終演後には、劇場の年中行事「節分祭」の豆まきが行われました。今月の出演俳優が舞台に登場し、梅玉のご挨拶を合図に出演者が豆入りの袋をまくと、客席は歓声と笑顔に包まれました。さらに、鬼に向かって豆を投げる出演者の姿に、お客様の笑い声が起こる場面も。最後に梅玉より、「いずれも様にとりまして、今年が良い年になりますよう、またたくさんの福が舞い込みますよう祈念いたしまして、手を締めさせていただきたいと思います」と呼びかけ、お客様とともに手を締め、1年の無病息災を願いました。

歌舞伎座地下2階の木挽町広場(かおみせ)では、2月期間限定で有名な老舗の銘菓を販売いたします。観劇の際はぜひお立ち寄りください。
歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」は25日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。