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「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

 2025年12月4日(木)に開幕した歌舞伎座「十二月大歌舞伎」の初日を前に、第二部『芝浜革財布』に出演の中村獅童、寺島しのぶ、市川中車、梶原善、市川猿弥、澤村精四郎が、意気込みを語りました。

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

いつもとは違う『芝浜革財布』

 「あとは上演するだけです」、と切り出した獅童。「梶原さんも、しのぶさんも、新鮮な意見を言ってくださる。七代目(尾上)菊五郎のお兄さんにもたびたびお稽古も見ていただいています。通常、稽古は数日だけですが、今回は半月ぐらいかけて…。夫婦二人きりの場面や、仲間とどんちゃん騒ぎする場面など、みんなで相談して試行錯誤しながら、今までにないことを取り入れています」と、稽古に手応えを感じている様子です。

 

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

 獅童と寺島が共演するのは令和5(2023)年10月歌舞伎座の『文七元結物語』以来のこと。「菊五郎のお兄さんから、“自分のやり方通りじゃなくていい。とにかく仲間とのどんちゃん騒ぎの場面は、いつもこの人たちはこういう風に飲んでいるのだろうなという匂いが大事。せっかくだから歌舞伎以外の俳優さんをゲストに迎えるとか、面白くしてほしい”」とアドバイスをもらったと言い、「我々はプライベートでも仲良しなので、その雰囲気が芝居にも反映されれば」と、楽しげに話します。

 

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

 『芝浜革財布』での共演について、「実現できたことはもう夢のようです」と語るのは寺島です。「千穐楽まで、ありがたい気持ちと謙虚な気持ちを忘れずに、毎日、とても楽しい皆さんとの生のセッションをお客様にお届けできたらと思います」。2年ぶりに立つ歌舞伎座の舞台は「やっぱり大きいですね。客席側からの景色と、舞台から見る景色はもちろん違って、感慨深いです。周囲が全員男性なので、男勝りな感じの声を腹から出さないと」と、気合を入れます。

 

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

気の合う仲間たちと

 中車は、「今回、半月ほど稽古ができて、この芝居について新たに発見したことも多々ありました」と明かし、稽古前に六人で食事会をしたエピソードに触れ、「6、7時間ずっと芝居の話をしました。この舞台がどのようにお客様に受け入れられるのか、楽しみです」と期待を込めます。このたび初めて歌舞伎座の舞台に立つ梶原は、「今年で芸歴40年、まさか歌舞伎座の舞台に役者として立てるとは。わくわくと、ひと月楽しく過ごしたいです」と、抱負を伝えました。

 

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

 取材の間、たびたび梶原と仲の良いかけ合いを見せた猿弥は、「皆さんに早くご覧いただきたいですね。お客様が反応してくださる舞台だと思います。もう初日が楽しみです」と、笑顔を見せます。精四郎は、「今回、梶原さんが入られたことによって新しい風が入りました。個性の強い方々が大勢いらっしゃるので、それに負けないように自分の個性を出していけたらいいなと思っております」と、穏やかにコメントしました。

 

「十二月大歌舞伎」『芝浜革財布』の開幕を前に

 

 さらに取材では、作品になぞらえて、出演者それぞれの落とし物のエピソードで盛り上がるなど、和気あいあいとしたやり取りが飛び交い、気の合う仲間同士が織りなす舞台に、ますます期待が高まります。締めくくりに、獅童が「『芝浜革財布』は元々落語で、誰が観てもわかる内容です。歌舞伎をまだ見たことのない方たちにぜひ、歌舞伎の入り口として楽しんでいただけたら」と呼びかけると、寺島も「師走にぴったりの演目ですので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思っております」とアピールしました。

 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は26日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2025/12/09