
くらしの今と昔
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| 縫う仕事は季節を問わず、たくさんあります。着物は冬物なら梅雨の頃に糸をほどいて洗い張りし、夏のうちに綿入れ、羽織、胴着、襦袢までみな縫い直します。秋には夏物をほどきますし、初冬には来年のための新しい着物の縫い物も始まります。 | ||
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其の三 年に1度の遊び
柔らかく煮込んだお事汁をいただく日は、針供養の日でもあります。江戸の女性たちは、毎日のように裁縫をするのが当たり前でしたが、この日ばかりは針仕事を休みます。そして、折れたり古くなったりして使えなくなった針を集め、豆腐やこんにゃくなどに刺して供養しました。針を柔らかい物に刺すのは、日頃から堅い布を一生懸命縫ってくれた針に対して感謝し、ねぎらうという意味があったのだそうです。
江戸の人々は、修理もできないほど古くなった道具なら、近所の寺社に頼んで供養してもらっていました。針供養の場合は淡島社にお願いするのが一般的で、江戸では浅草寺の淡島堂が有名です。本社は和歌山県加太にある淡嶋神社とされ、淡島様とも呼ばれました。淡島様は女性にとって、頼りになる味方として親しまれていて、女性たちは家庭円満や婦人病予防を願ったり、裁縫が上達するように、上手に反物を裁つことができるようにと祈ったりしていました。
「月も朧に白魚の」の名台詞で知られるのが、黙阿弥作『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつかい)』。夜鷹のおとせを川に突き落としたお嬢吉三が「思いがけなく手に入る百両」と言うと、厄払いの「おん厄はらいましょう」という声が入ります。節分の夜は町に厄払いがやってきて、めでたい厄払いの辞を述べてくれるものでしたが、お嬢吉三は自分自身に向けて、厄払いのような台詞を続けるのです。
くらしの今と昔
バックナンバー
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							 つつましくも活気があった庶民の食当時世界でも有数の人口を誇った江戸。その大多数を占めた町人の食事はどんなものだったのでしょう。 
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							 百花繚乱江戸の衣町人文化が花開いた江戸時代、都市の繁栄度合いが顕著に表れたのは、ファッションでした。そのファッションをリードしたのが、歌舞伎役者。 
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							 夏の江戸の暮らし方(2)〜女たちと夏の楽しみ〜じりじりと照り付ける夏の日差しを上手によけて暮らす江戸の夏。涼を呼ぶおやつや、遊びなど、暑さを積極的に楽しむ方法も数多くありました。 
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							 夏の江戸の暮らし方(1)~女たちと食事の支度~1日3食スタイルが定着する一方で、手間をかけなくてもおいしく楽しめる江戸の食が発達していきます。 
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							 おんなを磨く湯 ~女の園の風呂事情~数百人からの女性たちが仕えた江戸城大奥。女の園は、お風呂も一味違います。 
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							 歩いて乗っての江戸っ子旅道中「いとおしき子には旅をさせよ」 そんな言葉に駆られるように 江戸っ子たちが旅に出かけていきます。 
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							 冬を楽しむ江戸っ子の工夫寒い寒い江戸の冬。暖かさを求めて、江戸っ子も工夫をこらします。 
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