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歌舞伎いろは
【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。


江戸の雛人形は豪華で美しく、雛壇が7段も8段もありました。親たちのあまりの加熱ぶりに8寸以上の雛人形が禁止されたほど。雛市ではリサイクル品も売られましたが、江戸の雛は中古でも新品に見劣りしないゴージャスさだったそうです。
雛あられに見られる3色はそれぞれ、白色が雪の大地、青色が木々の芽吹き、桃色が生命を表しており、この3色のお菓子を食すことで自然のエネルギーを授かり、健やかに成長できるという意味があったといわれています。

其の三 女の子の夢を育てる雛祭り

 春先にあたる2月初午は、本来は子供たちのためのお祭り。男の子も女の子もおもちゃをもらい、大人はご馳走をいただいて楽しみました。約一ヶ月後の3月3日の桃の節句の場合は、女の子だけのゴージャスな祭りで、親たちはここぞとばかりに張り切りました。それは大変な盛り上がりようで、男の子のための端午の節句とは比べ物にならなかったそうです。

 桃の節句は「雛祭り」ともいうほどですから、やはり雛人形が重要なポジションを占めています。江戸では2月の末から雛市が立ち、連日にぎわいました。おなじみの男女一対のお雛様のほか、小野小町などの立ち姿の人形も雛人形と呼ばれ、人気があったそうです。雛も道具類も、年を追うごとに豪華で美しいものが登場し、人々の目を引きつけました。

 雛は、もとは身分の高い家の子女が日常的に遊ぶ人形のことでした。豊かになった江戸の町の人々は、これを桃の節句の特別な人形として飾るようになったのです。夫婦雛人形を飾ることは、女の子たちが仲むつまじい家族のイメージを育む手助けとなったそうです。女の子たちが普段から抱いたり着せ替えたりして遊ぶ人形も、結婚後の家事や子育てのシミュレーションに役立っていたといわれています。
悲劇の『寺子屋』
 『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』の『筆法伝授』では、流罪を言い渡された菅原道真が、武部源蔵に文字通り筆の道の奥義を伝えています。道真は書の大家であり学問の神。これぞ最高レベルの手習い指南です。そして物語はこの源蔵の開いた寺子屋で、悲劇のフィナーレ(『寺子屋』)を迎えます。

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