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【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
反物が上がると、次にそれを形にするのが歌舞伎座にほど近い中央区新富に建つ松竹衣裳(株)の縫製課。現在30名のスタッフが所属するこの部署は、歌舞伎のみならず、映画、演劇、舞踊などの衣裳も手がけ、常に活気に溢れている。中心となるのは20~30代の女性で、男性はわずか1名。しかし、男女問わず、和裁の心得があることが縫製課員の基本だという。
「歌舞伎の場合、月半ばに翌月の公演についての打ち合わせがあり、月末までの約2週間ですべてを仕上げます。ゼロから衣裳を仕立てるか、サイズ直しか、仕事内容はその二つですが、歌舞伎の衣裳はすべてが手縫い。それでも、浴衣で8時間、振袖を仕立てるのに1.5日というところでしょうか(笑)」と縫製課・村松美紀課長。
まさに驚くべきスピードだが、舞台衣裳の縫製には、通常の和裁と異なるポイントがいくつかあるのだという。
「まず針目が大きいこと。例えば、通常3mmのところを5mm位で縫ってます。あと、返し縫いはあまりしません。その代わり、袖付はしっかりと。俳優さんはハードに動きますから」
一見、華麗な歌舞伎衣裳だが、1ヶ月の公演を終える頃には消耗も激しいのだという。汗や化粧汚れはもちろん、立役は刀を差す脇が、女形なら手を添える部分がもっとも傷みやすい。
「1ヶ月の公演が終わると、衣裳はドライクリーニングやシミ抜き、洗い張りに出して、袖と身ごろなどをバラして保管します。そして、衣裳たちは次の出番を待つんです」
(写真上)衣裳は袖と身ごろなどをバラして大切に保管される(『三人吉三』お嬢吉三の衣裳)(下左)毛縫(けぬい)の衣裳を仕立てる (下右)仕立て上がった衣裳は、重さもかなりのもの
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