歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



顔の輪郭は左右非対称。その上でバランスをとる

 TV時代劇のかつら製作で有名な「川口かつら」の家に生まれ、18歳からこの道一筋という川口社長。

 「この仕事で大変なのは、中国での原材料の高騰と、休みが不規則なことですかね(笑)。毎月10日頃に翌月のかつら合わせがありますよね。そして製作して、20日頃に床山に渡し、月末の舞台稽古に立ち合って〈だめ取り〉といわれる最終チェックをします。

 でも、我々が相手にしてるのは生身の人間の頭です。かつら合わせから時間が経てば、太ることもあるし痩せることもある。初日が開いて4?5日間は直しが入ることがあるので休むわけにはいきません。……って言ってると、もう次のかつら合わせですよ(笑)」

 「人間の顔の輪郭は誰もが左右非対称」と川口社長。それを左右対称に見せられるかが、かつら合わせの基本だという。

 「同じ役でも芝居の前半と後半で魅せるポイントを変えたかつらを使ったり、観客席からの見え方を細かく意識したり。サイズのみならず役者さんのこだわりはさまざまです。それに応えていくのもやりがいなんです」

取材協力 東京演劇かつら(株)
取材・文 寺田薫 写真 山本大樹 構成 児玉結(編集部)

(写真上)獅子のかつらにはヤクの毛を使用する。まるで大型犬のブラッシングをしているかのよう (写真下)「実際に舞台を観にいって、客席からの見え方を確認したりもします」と川口清次社長