
【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
こころを映す 歌舞伎の舞台
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「平成の大修復」の時の調査で発見された「痕跡」により復原された「ブドウ棚」。 |
舞台下奈落の廻舞台の装置。直径7.3mの「盆」を人の手で廻すための「力棒」が4本ある。 |
歌舞伎ファンだからこそ見られない?舞台裏
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写真中央の「斜交い」で補強した柱が支えているのが花道。その右が舞台から花道の鳥屋への通路となる。 |
舞台の「書割(かきわり」の裏は楽屋になっている。 |
舞台裏の楽屋。歌舞伎公演が行われていない時は、見学者のために案内札が立てられている。 |
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左:舞台裏にある、奈落への入り口。 |
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花道上には「かけすじ」が設置されている。今年第二部『鯉つかみ』では、市川染五郎さんの工夫によって大活躍しそう。 |
奈落への入り口、階段は花道奥の鳥屋(とや)の横と舞台の下手にあります。舞台上のセリや花道のスッポン、そして前ページでご紹介した「空井戸」も奈落につながっています。ほの暗くひんやりとした奈落は、じめっと湿度が高い感じ…。取材したのは2月下旬にしては暖かな日でしたが、気温は10℃、湿度計は81%を示していました。
直径4間(7.3m)の円形に切り抜かれた廻り舞台についている4本の「力棒」は、ちょうど人の肩や手に触れるところが、よく使い込まれているようでツルツルに光っていました。廻り舞台はこの力棒を持つ4人で廻しています。この廻り舞台を廻すのも、セリやスッポンで俳優さんを持ち上げたり下ろしたりするのも、芝居の演出の「暗転」のときに外光を遮断するために一斉に戸を閉めるのも、琴平町商工会青年部を中心とするボランティアのみなさん。多くの有志の方々の熱い想いが結集されて、一年に一度の大イベント「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が行われているのです。
紙吹雪、花吹雪を降らせる「ブドウ棚」、そして宙乗りを見せる「かけすじ」。どちらも観客を巻き込み、客席が高揚する芝居の仕掛けです。「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の醍醐味はますます増し、この劇場ならではのワクワク感は特別なものになりました。今年4月も、この劇場が、この町が熱気に包まれることでしょう。
※1:公演ではありませんが、昨年公開された映画『最後の忠臣蔵』では、重要な役割を担う人形浄瑠璃『曽根崎心中』の場面がここで撮影されました。
一般公開されている時の「旧金毘羅大芝居(金丸座)」の入場料:大人500円、中・高校生300円、小人200円 (団体割引もあり)
※2:「ブドウ棚」とは、天井に竹を格子状に組み荒縄でしめたもの
※3:「かけすじ」とは、宙乗りの演出で使用される装置
平成 劇場獨案内
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