歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



客席は前後の間隔がゆったり。東西の席は舞台中央方向に向いて斜めに配列しているので、観やすいと好評。

1階の東西の席は二席ずつ舞台中央に向いて配列。しかも、中央の席より高くなっているので、とても視界がいい。

ゆったり観やすい客席。個室になった特別室も

1階客席・東特別室(四人席)。カウンターの上には、上演中プログラムが読めるよう、手元を照らす明かりも設置されている。

御園座の座紋「抱きとんぼ」があしらわれた照明(左写真)と階段側面の装飾タイル(右写真)。 「抱きとんぼ」は蜻蛉(とんぼ)の雌雄が抱き合っているさまを図案化したもの。

六角形の亀甲文も壁や絨毯、手摺や明かりなどにあしらわれている。

現在、掛けられている緞帳は4枚。

①千羽鶴 原画:加山又造
②富士に献花 原画:片岡球子
③十二支 原画:松村公嗣
④喜久遊舞 原画:牧進
⑤華精 原画:杉本健吉

 開場以来劇場に掲げられている御園座の座紋は「抱きとんぼ(だきとんぼ)」です。初代社長長谷川太兵衛が考案し制定した座紋で、建物外観、ちょうちんや花道揚幕、照明や室内装飾など劇場内外のさまざまなところで目にすることができます。
 古来、蜻蛉(とんぼ)は勝負に強いというところから俗に「勝ち虫」と呼ばれて、鎧兜(よろいかぶと)などにもその図柄がよく使われる縁起のよいもの。「蜻蛉の舞い納め」の故事にならい、「初日から千穐楽まで無事に舞い納める」という劇場にとってめでたい意味も含まれています。
 また、御園座には亀甲文様も劇場内のあちこちで使われています。上の写真のように壁にあしらわれていたり、絨毯の図柄や手摺の装飾に使われていたり。亀甲を三角形のように3つ合わせた形の明かりなどもあります。

 客席場内は鮮やかな赤を基調としており、とても華やか。斜めにバルコニーのように迫り出した2階、3階の東西の席、そしてセンターの客席より高く設置された1階東西の席が特徴的です。御園座の客席は、前後の間隔にゆとりがあって快適。また、東西の客席は座席が舞台中央に向いて斜めに配置されているので、とても観やすいと好評です。

 桟敷席はありませんが、1階後方に個室になったガラス張りの特別室(上写真)が三人用・四人用の二室あります。ここなら、ちょっとおしゃべりしながら、身を乗り出したり、両肘掛けを思い切り使ったり、“左右や前後の他の観客に気を使うことなく気ままに観劇”などという“特別”なことも可能です。

 “特別”といえば、今年の顔見世では、前ページでも述べたように襲名披露も行われるので、豪華な俳優陣による襲名披露口上や舞台には祝い幕も掛けられて、劇場内には特別感がいっぱい。ぜひ足を運びたい公演です。

平成 劇場獨案内

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