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桜壽博多座大歌舞伎

料金(税込)

  • A席(平場)18,000円
  • A席(椅子)18,000円
  • 特B席15,000円
  • B席12,000円
  • C席5,000円

一幕見券のご案内

上演時間

  • 磯異人館

  • 幕間 30分
  • 義経千本桜
    吉野山

  • 幕間 30分
  • 平家女護島
    俊寛

  • 棒しばり

  • 幕間 30分
  • 夏祭浪花鑑
    序幕

  • 幕間 25分
  • 夏祭浪花鑑
    二幕目

演目と配役

昼の部

〈ご挨拶・中村橋之助〉




一、磯異人館(いそいじんかん)
岡野精之介
琉璃
岡野周三郎
加代
五代才助
ハリソン
松岡十太夫
中村 勘太郎
中村 七之助
尾上
坂東
市川
片岡
笹野
二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

吉野山

佐藤四郎兵衛忠信実は源九郎狐
逸見藤太
静御前
中村 橋之助
片岡
中村
三、平家女護島(へいけにょごのしま)

俊寛

俊寛僧都
丹左衛門尉基康
海女千鳥
丹波少将成経
平判官康頼
瀬尾太郎兼康
中村 橋之助 ※
中村 勘太郎
中村 七之助
尾上
片岡
坂東 彌十郎

夜の部

〈ご挨拶・中村勘太郎〉




一、棒しばり(ぼうしばり)
太郎冠者
次郎冠者
曽根松兵衛
中村 七之助 ※
市川 弥 ※
片岡
二、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
序 幕



二幕目
第一場 発端よりお鯛茶屋の場
第二場 住吉鳥居前の場
第三場 釣船三婦内の場
第四場 長町裏の場
第一場 九郎兵衛内の場
第二場 同   屋根の場
団七九郎兵衛
一寸徳兵衛
徳兵衛女房お辰
玉島磯之丞
傾城琴浦
三婦女房おつぎ
三河屋義平次
大鳥佐賀右衞門
釣船三婦
団七女房お梶
中村 勘太郎 ※
中村 橋之助
中村 七之助
尾上
坂東
中村 歌女之丞
笹野
片岡
坂東 彌十郎
中村
※中村勘三郎休演につき、配役を変更しております。

みどころ

昼の部

一、磯異人館(いそいじんかん)

 昭和43年に募集された明治100年記念懸賞演劇脚本の当選作の一つで、62年に歌舞伎座で初演し、平成19年に再演された作品です。作者の指宿大城は鹿児島で教鞭を取りながら作家を続けた人ですが「西郷や大久保の偉業を支えた無名の人たちの活動を描きたい」と、この作品を書いたそうです。薩摩藩士が藩の行列を遮った英国人を斬った生麦事件が契機となり薩英戦争が勃発しますが、この戦争で文明の威力を知った薩摩藩は英国の援助を得て、磯地区に集成館を作って近代化の道を歩み始めます。この作品は武士の道を貫いたにも関わらず生麦事件の責任を取って切腹した岡野新助の子で、新しい薩摩切子を作り上げる夢に生きる精之介、血気盛んな周三郎の兄弟の人生が、家柄を笠に着た同僚の横暴で挫折するまでを、精之介と琉球王女の琉璃との悲恋を絡めて描いています。序幕は対照的な性格を持つ兄弟の姿と精之介の淡い恋が見どころです。大詰は藩の命令でイギリス人に嫁ぐ琉璃の悲しみと精之介への思い、それを知って希望を取り戻す精之介の心、罪人の子といわれ悲運に泣いてきた精之介と周三郎の兄弟愛、その果てに互いを助けようとして悲劇的な最期を遂げる精之介の無念が描かれていきます。実在した五代才助の人間性や幕末の薩摩藩の様子が劇を彩ります。変化に富んだ物語、叙情性豊かに展開する若者のドラマが感動を生むことでしょう。

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

  吉野山

 『義経千本桜』は二代目竹田出雲、三好松洛、並木千柳が延享4年(1747)に合作した五段の時代浄瑠璃で、すぐ歌舞伎に移され今では『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』と共に三大名作と呼ばれています。「吉野山」は四段目の舞踊劇で、本名題は「道行初音旅」と言います。原曲は義太夫ですが、今回は清元、竹本(義太夫)掛合いで上演します。
 平家討伐の大功を立てながら、兄頼朝の疑いを受けた義経は、愛人の静御前に形見として初音の鼓を預け、家来の佐藤忠信に守護を頼んで九州へ落ちて行きました。その後義経が吉野山に隠れていると聞いた静は忠信と共に吉野山へ向かいます。その道中を描いた一幕です。ところが、この忠信は本当の忠信ではなく、鼓の皮に張られた狐の子が化けた忠信でした。親恋しさの余り忠信に化けて、静を守りながら鼓と共に旅を続けてきたのです。静はそんなことは知りません。忠信は静が打つ鼓の音に引かれてスッポンから登場しますが、狐の化身である妖しさと、本物の忠信らしい颯爽とした風情との二重性を表現する必要があります。その演じ分けが見どころです。静と忠信は里から聞こえてくる唄に合わせて踊ります。旅の途中の寛いだ姿を描いていますが、あくまで主従に見えねばいけません。竹本の語りで屋島の合戦の様子を物語るところでは、戦う二人の武士の姿や合戦の様子を立体的に見せる忠信の見せ場です。随所に狐であることを見せる演技にも注目して下さい。華やかで変化に富んだ舞踊劇です。

三、平家女護島(へいけにょごのしま)

  俊寛

 近松門左衛門が享保4年(1719)に書いた五段の時代浄瑠璃『平家女護島』の二段目に当ります。「平家物語」で知られる俊寛の物語を独自の視点から脚色した一幕です。
 俊寛、康頼、成経は平家討伐の陰謀が露見して鬼界ケ島に流されました。それから3年、飢えと孤独に苦しみながら暮らしてきました。そんな俊寛の姿を冒頭で見せます。そこへ康頼と成経が訪ねてきて、成経が島の海女千鳥と恋仲になったと語ります。俊寛は喜び、自分にも都に東屋という恋女房を残してきたと語ります。後の伏線になる場面です。千鳥がやってきて俊寛は、父代りになると約束して二人を祝言させます。祝いに舞おうとして空腹のあまりよろけて倒れ笑いで誤魔化す演技に流人の寂しさが見えます。その時海上に船が見え驚喜する一同の前に赦免船が着きました。瀬尾が降りてきて赦免状を読み上げますが、俊寛の名前はありません。呆然として嘆き悲しむ俊寛の前に丹左衛門が現われ俊寛も許されたことを語ります。憎々しい敵役の瀬尾、颯爽とした捌き役の丹左衛門、その対照も見どころです。ところが瀬尾は千鳥の乗船を拒否し、俊寛に向かって東屋が殺されたことを告げます。絶望した俊寛は隙を見て瀬尾を殺し、自分の代りに千鳥を乗船させます。覚悟して島に残った俊寛ですが、遠ざかる船を見るうちに孤独感に苛まれ狂ったように船を追います。次々と変化する俊寛の心理を近代劇のように表現していく演技が見どころです。

夜の部

一、棒しばり(ぼうしばり)

 狂言の『棒縛』を素材にした松羽目舞踊で、岡村柿紅が六代目尾上菊五郎、七代目坂東三津五郎という舞踊の名手にあてはめて書き下ろしたもので、大正5年(1916)市村座で初演されました。
 大名の松兵衛は、留守の度に家来の次郎冠者と太郎冠者に酒を盗み呑みされてしまうので、一計を案じ、次郎冠者の手を棒にくくりつけ、太郎冠者を後ろ手に縛りつけて出かけていきます。何とかして酒を飲みたい二人は酒蔵へ行き、試行錯誤の末縛られたままで酒を飲むことに成功します。盃を重ねて良い気分になったところで、太郎冠者は酒の肴にと舞をひとさし。これを見た次郎冠者はさらに太郎冠者に酒を勧め、やがて連れ舞いに。酒宴は一層盛り上がります。そこへ戻ってきた主人の松兵衛、呂律が回らないほど酔っ払い、すっかり上機嫌の二人の様子にびっくり仰天。逃げ出そうとするのを追い回し、大騒ぎのうちに幕となります。
 踊りの要である手を縛られたまま不自由なかたちで踊って見せるという趣向で、その難しさが一番のみどころです。酒を酌み交わしたり扇子を取り合ったりの工夫の巧みさや段々と酔いが回ってくる様子は実に愉快で、狂言物らしい明るく陽気な魅力に満ちた作品となっています。

二、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

 並木千柳、三好松洛、竹田小出雲が延享2年(1745)に合作した世話浄瑠璃で、翌月歌舞伎に移されました。通常は「住吉」「三婦内」「長町裏」の三場を上演することが多いのですが、勘三郎は平成8年の第2回コクーン歌舞伎で串田和美演出で前後の場面を加え、工夫を凝らして上演し大評判をとりました。その後 平成中村座でのニューヨーク公演も含めて様々な劇場で上演を重ねてきました。串田演出の特色は恩人の息子の磯之丞のために団七や徳兵衛や三婦が損得抜きで行動する心意気と、そんな男に惚れたお梶やお辰の男勝りの気っ風を表現していることです。
 序幕の「お鯛茶屋」は物語の発端で徳兵衛とお梶、琴浦と磯之丞、琴浦に横恋慕している佐賀右衛門など物語の人間関係を描いた場面です。「住吉」では髭ぼうぼうの姿で牢から出た団七が、颯爽とした男ぶりになって暖簾から姿を現すところが見どころです。徳兵衛と団七の立ち回りは大阪の芝居らしい味付けになっています。お梶が割って入って事情が明らかになり、団七と徳兵衛は義兄弟の契りを結びます。「三婦内」は大阪の夏祭の風情が漂う場面です。世慣れた老侠客三婦 とお辰のやり取りが面白く、夫のため侠客の義理を貫こうとするお辰の鉄火な気性が見ものです。「長町裏」はこの芝居のクライマックスの場面です。団七を罵り嘲る憎々しい舅義平次と耐える団七、その果てに思いがけぬ成行きから義平次を殺してしまう団七の姿を、本物の泥を使った写実性と様式美に溢れた見得や動きで見せていきます。陰惨な殺し場を絵画美として見せるのが歌舞伎の工夫です。その緊迫感をだんじり囃子や祭囃子が盛上げます。「団七内」は通称を「蚤取り」と言い、団七の身を案じる徳兵衛と三婦の思いを描いた場面です。続く「屋根上」は団七と徳兵衛の立ち回りが見ものですが、串田演出独特のセットが斬新です。見どころ一杯の作品です。

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