みどころ


歌舞伎座

歌舞伎座さよなら公演

九月大歌舞伎

平成21年9月2日(水)~26日(土)


昼の部

一、竜馬がゆく(りょうまがゆく)

 慶応三年(一八六七) 十月、坂本竜馬(染五郎)らの発案により大政が奉還されました。その後、新政府樹立の為に奔走していた竜馬は、醤油商の近江屋に身を潜めています。十一月十五日。近江屋では竜馬の身を案じる主人の新助(猿弥)、女房すみ(高麗蔵)、奉公人の桃助(男女蔵)、薬屋の淡海槐堂(竹三郎)らと竜馬が気さくに話をしています。
 ところがその夜、訪ねて来た伊東甲子太郎(錦吾)らに身の危険を告げられる竜馬。夜も更け、後藤象二郎(門之助)と新政府の構想を話している竜馬のもとに中岡慎太郎(松緑)が訪れ...
 激動の時代を生きた坂本竜馬最後の一日を描いた舞台にご期待ください。

二、秀山を偲ぶ所縁の狂言

  時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)

 武智光秀(吉右衛門)は太政大臣に任ぜられる小田春永(富十郎)に勅使饗応の役を命じられました。饗応の仮屋で妹桔梗(芝雀)がその準備をしていると、山口玄蕃(歌昇)が言い寄ります。光秀が見咎める所へ、春永が森蘭丸(錦之助)、力丸(種太郎)を始め家臣らと現れます。武智家の家紋を使った幔幕を見て激怒した春永は、蘭丸に光秀の額を鉄扇で打たせ、蟄居を命じて去ります。「饗応」
 毛利攻めの途上、春永は蘭丸、力丸や家臣(友右衛門、由次郎、桂三、男女蔵、亀寿、宗之助)、園生の局(吉之丞)を連れて本能寺に着陣。桔梗たちの執り成しで目通りが許された光秀に、春永は、馬盥に酒を注いで飲ませるなど、恥辱を与えていきます。それに耐える光秀でしたが最後に、流浪していた時に売った妻の切髪を渡され、秘かに決意し宿所へと去ります。「馬盥」
 その夜、愛宕山の宿所では光秀の妻皐月(魁春)、安田作兵衛(歌六)、連歌師丈巴(家橘)が連歌の会を催しています。そこへ春永の上使が入来し光秀に上意を伝えます。光秀は辞世を詠じ切腹すると見せかけ、上使を切り捨てます。四王天但馬守(幸四郎)の注進を受けた光秀は春永を討ち取るべく本能寺へと向かうのでした。「連歌」
 光秀を得意とした初代吉右衛門を偲ぶ所縁の狂言にご期待ください。

三、名残惜木挽の賑

  お祭り(おまつり)

 江戸の天下祭と称される山王祭の日、屋台囃子が聞こえ、芸者(芝翫)、手古舞(芝雀、孝太郎)、鳶頭(歌昇、錦之助、染五郎、松緑、松江)が祭の華やかな雰囲気の中で、江戸の情緒を賑やかに踊ります。華やかな顔ぶれによる清元舞踊の名作をお楽しみ下さい。

四、天衣紛上野初花

  河内山(こうちやま)

 松江出雲守(梅玉)は腰元浪路(高麗蔵)を妾にしようとしますが、浪路はそれを拒んで手討ちにして欲しいと言います。宮崎数馬(門之助)がそれを留めている所へ、北村大膳(錦吾)がやって来て、数馬と浪路が不義をしていると言い立てます。出雲守が二人を斬ろうとすると、そこへ家老の高木小左衛門(段四郎)が現れ出雲守を諌めますが、出雲守は大膳に小左衛門を斬るように命じます。その時、御使僧北谷道海の入来が告げられ、出雲守を始め、近習(松江、男女蔵、亀寿、種太郎、隼人、宗之助)らが出迎えます。
 やがて現れた御使僧こそ御数寄屋坊主の河内山宗俊(幸四郎)。強請に行った質屋、上州屋で愛娘である浪路の窮状を聞き、御使僧をかたり乗り込んできたのです。河内山は渋る出雲守をやり込めて去っていきます。七五調の名台詞も聞きどころの河竹黙阿弥の名作です。


夜の部

一、浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)

 桜が満開の吉原仲之町。稲妻の模様の着物の不破伴左衛門(松緑)と、濡れ燕の模様の着物の名古屋山三(染五郎)がやってきます。二人は刀のが當り斬り合いとなりますが、茶屋女房お京(芝雀)がそれを留めます。「鞘當」
 品川の宿場に程近い鈴ヶ森。飛脚早助(家橘)が運んでいた手配書のお尋ね者、美少年の白井権八(梅玉)を捕えて褒美の金を得ようと、東海の勘蔵(由次郎)、北海の熊六(桂三)を始め雲助が襲いかかりますが、権八はそれを次々に斬り捨てます。通りかかった駕籠の中からその様子を見ていた名高き侠客幡随院長兵衛(吉右衛門)が立ち去ろうとする権八を呼び止めます。「鈴ヶ森」
 鶴屋南北作の歌舞伎味溢れる二幕をお楽しみ下さい。

二、七代目松本幸四郎没後六十年

  歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

 武蔵坊弁慶(幸四郎)の進言により、源義経(染五郎)は強力に、家臣たち(友右衛門、高麗蔵、松江、錦吾)は山伏に姿を変えて、都を落ち奥州へと向かっています。義経を捕えるため各地に新関が設けられ、富樫左衛門(吉右衛門)が関守を勤める加賀国安宅関へさしかかった一行は、東大寺の勧進僧と言い通ろうとしますが許されず、最後の勤行を行います。それを見た富樫は弁慶に勧進帳を読むように命じます。弁慶は白紙の巻物を勧進帳と偽って読み上げると富樫の問にもよどみなく答え、一行は関の通行を許されます。
 しかし、番卒が強力を怪しみ富樫が呼び止めます。すると弁慶は金剛杖で義経を打ちすえます。主君を思う弁慶に心うたれた富樫は一行の通行を許すのでした。七代目幸四郎の没後六十年に因み、名優の面影を偲ぶ舞台です。

三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)

 木曽から源範頼が攻めてくるというので、吉祥院には「紅長」の愛称で親しまれている紅屋長兵衛(吉右衛門)、八百屋久兵衛の娘お七(福助)、母おたけ(東蔵)、下女お杉(歌江)、丁稚長太(玉太郎)などが逃れてきます。お七は吉祥院の小姓吉三郎(錦之助)に心を寄せていますが、母おたけや、やってきた吉三郎の若党十内(歌昇)に恋が叶わないことを告げられます。落ち込むお七を紅長が慰めるところへ釜屋武兵衛(歌六)と共に長沼六郎(桂三)がお七を範頼の愛妾にするため訪れますが、月和上人(由次郎)がお七は寺に来ていないと言います。紅長はお七を欄間へ隠して...「吉祥院お土砂」
 暫く後の冬の夜。吉三郎の元へ向かうお七ですが、町の木戸が閉じられています。木戸は火の見櫓の太鼓を叩けば開かれますが厳罰に処されてしまいます。それでも吉三郎に会いたい一心のお七は...「櫓のお七」
 〝お土砂〟と通称される喜劇と、櫓のお七、趣向あふれる舞台をお楽しみ下さい。

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