花道

はなみち

 舞台の下手(左側)から客席を貫くようにまっすぐ伸びている通路を「花道」と呼び、人物の登場や退場に使われます。能舞台の「橋掛り」から次第に変化して歌舞伎ならではの舞台機構となりましたが、「花道」というのは晴れがましさを感じさせる素晴らしいネーミングです。

 ここからの登場では客席の中から登場したような臨場感を与え、さらに立ち止まるとひときわクローズアップされるから不思議です。『助六』が登場する出端(では)や、『勧進帳』弁慶の引っ込みの"飛び六方"など、こんなに立体的で効果のある演出を創り上げる舞台機構は世界に類がありません。

 演目によっては下手側の本花道に加え、上手に「仮花道」が設置されることがあり、この両花道を使うと素晴らしいステレオ効果が生まれ、スケールの大きな空間設定が可能になります。(K)

『勧進帳』は9月歌舞伎座 夜の部で上演。



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