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翫雀が語る「四代目中村鴈治郎襲名披露」

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 来年1月から 「壽初春大歌舞伎」「二月大歌舞伎」と2カ月にわたり、大阪松竹座で行われる中村翫雀改め 四代目中村鴈治郎襲名披露について、中村翫雀が公演への意気込みを語りました。

翫雀が語る「四代目中村鴈治郎襲名披露」

 「鴈治郎と藤十郎が一緒に並ぶというのはこういうことかと、ひしひしと感じております」と、新しく刷り上がった公演チラシを眺めてつぶやいた翫雀。襲名披露発表の会見でも言っていたように、「父の名を継ぐ感覚はなく、祖父の名前を継ぐという気持ちが強い」と、あらためて祖父、二世鴈治郎のように「いろんな役ができる、そんな役者になれたら」と語りました。

初役の『吉田屋』伊左衛門、そして『封印切』忠兵衛
 1月は襲名披露狂言として、昼夜で玩辞楼十二曲の2演目が上演されます。『吉田屋』伊左衛門は念願の初役。「夢の頂点の役。伊左衛門の匂いがぷんぷんするようにやらないと。初代は“出が勝負”と言っていました。笠をとったときに、皆さんに“あっ”と思っていただけるようにできるといいですね」。夕霧は父の藤十郎。「こんなにうれしいことはない、こんなに心強いことはない」と、喜びを表しました。

 『封印切』の忠兵衛は、今年3月の歌舞伎座で初めて八右衛門をやってみて「忠兵衛と八右衛門の世界ができていないと駄目なんだと思いました。八右衛門次第で芝居も変わります。今回は仁左衛門のにいさんに出ていただけるので、いくらでもいじってくれる、という気持ちです」と、感謝とともに自身も楽しみにしている様子をうかがわせました。

思い出深い又平、親子連獅子に託す思い
 平成15(2003)年、南座の吉例顔見世興行で、急遽代役を勤めたのが初役だった『傾城反魂香』の又平。「夫婦のつながりがすごく強く感じられる作品。それを今回は猿之助君とやれる。思い切り(芝居を)ぶつけ、どんなものになるか楽しみにしています」。

 平成14(2002)年4月、大阪の浪切ホールで、当時11歳だった壱太郎と初めて一緒に踊った『連獅子』を、今回の襲名披露でも踊ります。「いい意味で切磋琢磨できる親子連獅子であればいいと思っています。ずっと宝にしていける『連獅子』にしたい」と意欲を見せました。

万感胸に迫る『曽根崎心中』
 2月公演の夜の部では、「襲名披露狂言ではないけれど、襲名披露狂言にしか見えない」と翫雀自身も語る『曽根崎心中』で、藤十郎のお初を相手に徳兵衛を演じます。この徳兵衛も初演は代役でした。「(役を譲った)祖父は決していい顔をしませんでした。孫でもこの役を取られるのが嫌だったんでしょう。それだけ大事な役、芝居だったと思います」。

 「父が現役で、主役のお初をしてくれる。そして、二代目の鴈治郎が一番大事にしていた徳兵衛を、鴈治郎襲名でできる。本当にうれしい」。そう言った後、翫雀から言葉にならないさまざまな思いがあふれ、あとで「祖父が降りてきたのかな」と本人も振り返ったように、しばし特別な時間が流れました。

 初世鴈治郎は松竹創業時に深い関わりがあり、その松竹が創業120周年を迎える2015年は、大阪松竹座の前を流れる道頓堀川開削400周年にもあたるという、深い縁を感じる年の鴈治郎襲名。9月の南座公演の千穐楽で、初めて「がんじろはん!」と呼ばれ、思わず「にやけてしまった」と打ち明けた翫雀。満を持しての襲名披露、その喜びに満ちあふれた会見は、開幕への期待をよりいっそう大きくしました。

 大阪松竹座で幕を開ける中村翫雀改め 四代目中村鴈治郎襲名披露。2015年1月2日(金)~26日(月)「壽初春大歌舞伎」、2月1日(日)~25日(水)「二月大歌舞伎」、チケットは、1月公演が12月5日(金)より、2月公演は来年1月5日(月)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売です。

2014/10/21