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大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 前列左より、市川中車、片岡愛之助、横山英幸大阪市長、吉村洋文大阪府知事、中村鴈治郎、中村扇雀、中村獅童、後列左より、市川團子、中村壱太郎、中村虎之介

 

 2025年2月1日(土)から大阪松竹座で始まる大阪国際文化芸術プロジェクト「立春歌舞伎特別公演」に出演の中村鴈治郎、中村扇雀、片岡愛之助、中村獅童、市川中車、中村壱太郎、中村虎之介、市川團子が、公演について語りました。

 大阪関西万博開催時に多くの方々に大阪の文化芸術を楽しんでいただくことを目的として、多彩で豊かな大阪の文化芸術の魅力発信を強化する「大阪国際文化芸術プロジェクト」。その一つとして、今年に続き来年も、大阪府・大阪市・大阪文化芸術事業実行委員会の主催による「立春歌舞伎特別公演」が上演されます。会見に参加した吉村洋文大阪府知事は、「多くの皆さんに歌舞伎の素晴らしさや生の舞台の楽しさを体感していただき、文化芸術の発信に力を入れて、さらに都市力に繋げていけたら」、同じく横山英幸大阪市長は、「立春歌舞伎特別公演が大阪の風物詩として根付いて、多くの方に上方文化を感じていただけたらと心から願っています」と、挨拶しました。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 「 2月に大阪松竹座に出演できることがうれしい」と話す鴈治郎は、『本朝廿四孝』「十種香」での初役を含め、『幸助餅』、『義経千本桜』で4役を勤めます。上方の人情噺『幸助餅』は、鴈治郎自身が、松竹新喜劇の作品を歌舞伎として上演した作品です。「中車さんと再び本作で共演できることや、初めて女房役として(市川)青虎さんとご一緒できることも楽しみです。このメンバーで盛り上げて、いい芝居ができれば。最近、劇場でも増えてきている海外のお客様にも、ぜひ歌舞伎に触れていただける公演になればと思います」と、抱負を述べました。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 『本朝廿四孝』「十種香」の八重垣姫をはじめ、『恋飛脚大和往来』「封印切」、『義経千本桜』で合わせて3役勤める扇雀は、「『本朝廿四孝』は、観終わったときに“歌舞伎ってすごい”と思っていただけるようにつくっていきたいと思います」と、気合を込めます。「今まで歌舞伎に触れたことがない方にも歌舞伎が身近な存在になることが一番の望みです。日本にはこんなに素晴らしい伝統文化があるということを私たちがお伝えし、また観たいと思っていただけるお芝居をお見せして、リピーターを増やすことが大事な使命だと思っています」。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 愛之助は、『本朝廿四孝』「十種香」での初役のほか、『恋飛脚大和往来』「封印切」、『義経千本桜』に出演。2月に大阪で公演が行われることについて、「関西で毎月歌舞伎が上演されたらという私の夢に近づいてきているなと思います」と、笑顔を見せます。今回の『義経千本桜』は、普段はなかなか上演されない「大内の場」や「堀川御所の場」から「奥庭の場」まで上演されるという点に触れ、さらに、「今回はお客様により近づけるよう、客席上を斜めに飛んでみたい」と、初めて花道から客席の上手後方に向かって飛ぶ筋交いの宙乗りに挑戦することを明かしました。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 大阪の地で『恋飛脚大和往来』「封印切」の亀屋忠兵衛を勤めるほか、『義経千本桜』では初役も勤める獅童。上方和事の代表作とも言われる「封印切」を大阪で勤めることについて、「私は関東の役者です。今日になって、事の重大さに気づいたと言いますか…ドキドキしています」と、笑いを誘います。「忠兵衛は、(十八世中村)勘三郎のお兄さんに教えていただいたときのことをよく思い出して、壱太郎さんと相談しながら勤められたら。とにかく一所懸命にやらせていただきます。微力ながら、大阪での公演を盛り上げていきたいと思います」と、意気込みを見せました。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 「大阪の街並みが少し万博仕様に変わってきているところに、その勢いを感じています」と切り出した中車は、『恋飛脚大和往来』「封印切」、『幸助餅』、『義経千本桜』に出演。「『恋飛脚大和往来』も、こんぴら歌舞伎以来8年ぶりに鴈治郎のお兄さんと勤めさせていただく『幸助餅』も楽しみです。『義経千本桜』では、初役の秩父庄司重忠を勤めさせていただきます。今回の公演は、古典から上方の書き物まで、いろいろな演目が並んでいますので、歌舞伎は本当に分かりやすくて面白いんだということを、お一人でも多くの方に伝えたい。思いはその一つです」と、強い信念を表明します。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 『本朝廿四孝』「十種香」、『恋飛脚大和往来』「封印切」、『義経千本桜』に出演する壱太郎は、「封印切」で獅童の恋人役を演じることについて、「獅童のお兄さんと、心と心でがっつりと芝居をさせていただけたらうれしいです」とにっこり。『義経千本桜』の静御前の役はこれまで一番多く勤めている役だと話し、「過去の経験を大事に、愛之助のお兄さんと、また新たな気持ちで臨めたらと思っております。万博も含めて、大阪で文化が根付いていくように、これから若い力で関西を盛り上げていきたいと思っています」と、熱い志を口にしました。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 「上方の家に生まれた者として、古典の名作がそろった公演を上演できること、そして『本朝廿四孝』の勝頼は“いつか”と思っていたお役でしたので、非常にうれしいです」と、明るい口調で話すのは虎之介です。「『幸助餅』は上方喜劇らしい、お客様に楽しんでいただける作品。『義経千本桜』で4回目となる駿河次郎を、愛之助さんの忠信で勤められることもうれしいですね。最後は全員大集合で華やかな幕となっていますので、皆さんにお愉しみいただけたらと思っております」と、期待を持たせます。

 

大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

 最年少の團子は、『本朝廿四孝』「十種香」、『義経千本桜』で、3役をいずれも初役で勤めます。「先輩の皆様と出演させていただけること、本当にありがたく思っています。『義経千本桜』の御台所卿の君で、初めて歌舞伎の姫のお役に取り組ませていただきます。そして亀井六郎では、こちらも初めて赤っ面の役を勤めさせていただきます。一所懸命頑張ります」と、初めて尽くしの公演に向けて、真摯な表情で心意気を伝えました。

 

 出演者のコメントを受け、吉村知事は「いろんな世代の方に観ていただきたい。歌舞伎は本当に表情やその空気感が面白いので、まだ観たことがない大阪、関西の皆さんにはぜひご覧いただいて、そして歌舞伎のファンになってもらえたら」と呼びかけます。続けて横山市長も、「未来に向けて文化芸術都市としてのこの大阪の品格をどんどん上げていきたい。来年の万博を盛り上げて、大阪から文化を発信する素晴らしい機会にしたいと思います」と、目標を掲げました。

 大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」は、2025年2月1日(土)から16日(日)までの公演。チケットは11月16日(土)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売予定です。

2024/11/15