平成中村座で「小学生歌舞伎教室」が開かれました

平成中村座「小学生歌舞伎教室」

▲ 花道などの舞台機構の説明を熱心に聞く小学生たち

 2月14日(火)から始まった平成中村座「小学生歌舞伎教室」で、"歌舞伎の四季"をどのように表現しているのか、台東区の小学生が体験学習をしています。

 これは、歌舞伎公演のない2月の平成中村座で、子どもたちに江戸の芝居小屋の雰囲気を感じながら、歌舞伎に興味をもってもらおうと、台東区が参加小学校を募集。17日(金)まで5回開催で、約560人が参加するものです。

平成中村座「小学生歌舞伎教室」

実際に楽器を触って効果音を出し、春の風景を創出

 平成中村座の座椅子を取り払った平場には、地元浅草の子どもたちのためにと、無償で貸し出された宮本卯之助商店からの和楽器、藤浪小道具からの番傘やみの笠などが並んでいます。

 そこへ柝が入り、司会の挨拶から始まって舞台の浅葱幕が落とされ、現れたのは1月の平成中村座公演『お染の七役』で登場した大川と向島の背景幕。

 「自分たちが今いる浅草が、江戸の芝居の舞台とつながっていることを感じてもらうことと、子どもたちが楽しんでくれることを第一に考えました」というのは、今回の構成を担当した平成中村座の舞台監督、藤森條次さん。四季に合わせて4組に分かれた小学生が、鶯笛や波かごを使って音を出し、櫓を漕ぐ音を響かせると、まるで春の大川に花見の舟を繰り出したかのよう。

平成中村座「小学生歌舞伎教室」

     ▲ 笠をかぶり、みのをかけてすっかり江戸の人に

 続いて夏は雨うちわや雷車などで雨模様を演出、虫の音やたき火で秋の風情を出します。

 冬は、子どもが扱いやすい昔の雪かごを吊下げて雪を降らせ、太鼓の雪音をバックに雪下駄を履いた子が舞台を歩きます。照明や音響スタッフは、効果音の大小やシーンの移り変わりなど、全体の進行やそのときの状況に合わせた本番さながらの仕事ぶりで、子どもたちを飽きさせません。

 

 舞台機構の説明で、すっぽんから白煙とともに登場したのは参加した小学校の先生。先生は『盟三五大切』の早桶からも飛び出す大活躍で、「道具がすごくよくできています。裏方さんたちの働きもすごいです」と、歌舞伎の魅力の一端に触れて大満足の様子でした。

平成中村座「小学生歌舞伎教室」

3月の舞台では扇雀さんが放つ矢ですが・・・

 子どもたちが最も興味をもったのは、夏の怪談の演出に使われた『四谷怪談』に登場する赤子の人形。伊右衛門の腕の中、一瞬で地蔵に変わるあの仕掛けに一同びっくり。

 そして最後は、3月の公演に使われる『一條大蔵譚』の的が据えられた舞台に、矢が放たれて見事的中、背景が開いて江戸の大川から現代の隅田川の景色へと変わったところで幕となりました。

 なお、2月18日(土)には、応募者から抽選で選ばれた約200名の台東区民の皆さんが参加される、平成中村座「歌舞伎教室」も開催されます。

2012/02/16