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勘九郎、七之助が語る「平成中村座 十月大歌舞伎」「平成中村座 十一月大歌舞伎」
2022年10月から始まる「平成中村座 十月大歌舞伎」、11月から始まる「平成中村座 十一月大歌舞伎」に出演する中村勘九郎、中村七之助が、公演への思いを語りました。
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江戸の芝居小屋にタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができる平成中村座。令和元(2019)年の小倉城公演以来、コロナ禍により長らく上演がされていませんでしたが、このたび4年ぶりに、浅草の地に2カ月にわたり姿を現すことになりました。中村座をはじめとした猿若三座(市村座、河原崎座)が相次いで開場し、それまでの浅草聖天町が猿若町と名付けられた天保13(1842)年からちょうど180年を迎える節目の年に、平成中村座が浅草の街を大いに盛り上げます。
コロナ禍の希望に
「とにかくうれしいです」と、感慨を込めて切り出したのは勘九郎。「未知のウイルスと戦う日々のなかで、何を希望にしていたかというと、この平成中村座が早くやりたいということでした」と、ようやく実現した喜びをかみしめます。七之助も、「こんなにうれしい報告ができるとは思ってもいませんでした。皆様に安心して観ていただけるように、キャスト・スタッフ総出でいいものをつくる覚悟で、2カ月勤めさせていただく所存です」と、決意をみせました。
平成中村座について勘九郎は、「父(中村勘三郎)の夢が詰まった、私たちも大好きな小屋。古典から新作まで、挑戦できないことはほとんどない空間です。つくってくれた父に感謝して勤めなければ」と、思いを馳せます。「本当に多くの方々から、平成中村座が早く復活してほしいというお言葉を頂戴しました」と語る七之助は、「さまざまなところで平成中村座をやって、父がその背中で“一所懸命”ということを見せてくれました。私たちもがむしゃらについていった結果が今、このお客様のお声につながったと思います」と続けました。
浅草の地で再スタートを切ることについては、「コロナ禍で歌舞伎公演が中止となった土地の方々には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、生まれてからずっとお世話になっている浅草の地で平成中村座が再始動でき、とても良かったと思います。ここ数年、公演中止となっている“新春浅草歌舞伎”の悔しい思いも、この公演で代わりに晴らしていきたいと思いますし、これを機に浅草の町がもっともっと活気を取り戻してほしい」と語る七之助の言葉に勘九郎がうなずき、10代の頃より浅草で研鑽を積んだ二人ならではの特別な思いものぞかせました。
平成中村座初の新作歌舞伎
今回、2カ月連続で宮藤官九郎による新作歌舞伎『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』が上演されます。「古典落語の唐茄子屋政談をベースにした人情喜劇に、“不思議の国のアリス”の要素が入ってくる、その幅も楽しみです。これは今から古典になりそうな予感がします」と、勘九郎が声を弾ませます。また、「演出も宮藤さんがやってくださるので、平成中村座という空間を楽しんで使っていただきたいと思います。私もまだ発見していない平成中村座の魅力を、宮藤さんが見つけてくれると思います」と、笑顔を見せました。
『唐茄子屋』以外の演目立ては、現在鋭意検討中。勘九郎が「一番大切にしなければいけないのは、自分たちがやりたいものではなく、お客様に楽しんでもらえるような演目立てにすること」と語り、「父は新作をご覧になるお客様にも古典歌舞伎の魅力を伝えるため、見取り狂言にとてもこだわっていました」と、七之助が続けます。また、平成中村座恒例の試演会に代わり、今回は狂言の一つを若手や弟子の活躍の場にしたいと明かし、多彩な演目立てで見せる中村屋一門の奮闘に、期待が高まります。
感染対策を徹底して行われる平成中村座。勘九郎が「信頼できるお茶子さんたちが徹底した感染予防対策をしてくださるので、お客様も安心して日常を忘れられるような、夢の空間にできるのではと思います」と語り、「大事に稽古を重ね、このコロナ禍でも足を運んでくださるお客様に楽しんで帰っていただけるよう、一所懸命につくっていきたいと思います」とアピールしました。
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「平成中村座 十月大歌舞伎」、「平成中村座 十一月大歌舞伎」の公演詳細は、決定次第、歌舞伎美人でお知らせいたします。チケットはそれぞれ、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で9月7日(水)、10月7日(金)から発売予定です。