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猿之助が語る、明治座「十一月花形歌舞伎」に向けて
11月3日(土・祝)~27日、東京 明治座「十一月花形歌舞伎」に出演する市川猿之助が、公演に向けての思いを語りました。
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さらに磨きをかける天竺徳兵衛の再演
2か月にわたる襲名披露興行を終え、1か月の歌舞伎興行としては7月の新橋演舞場以来となる今度の明治座公演。夜の部では、三代猿之助四十八撰の内『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』が上演され、亀治郎として出演した2月博多座公演と同じく徳兵衛、女房おとわ、小平次を演じます。
「早替りは見ているお客様にとっては楽しいと思いますが、僕らは着替えるだけでもう大変。役者としては、ドラマの部分、こってりとした役々のほうが面白いんです。この芝居で言えば、二幕目のおとわの芝居のところ。あとは、芝居をしている暇がないというくらい大変です」。その"大変"に拍車をかけているのでは、と思わせるのが、猿之助が今回の上演でも挑戦する「時間短縮」です。
「お客様は夜の遅い時間を好まれない。博多座の公演は、以前の上演と比べて1時間くらい短く、初演(三代目猿之助の初演、昭和57年7月歌舞伎座)とは2時間近く違っています。今回もどれだけ短くできるか...、やってみないとわかりませんが」。博多座公演が、場面の整理などで「わりと完成形ができた」ため、あとは細かい部分を見直してよりスピーディーに、コンパクトにしたいと考えているようです。
劇場で自分の目で確かめて欲しい
明治座は、平成5(1993)年再開場の折、猿翁(当時三代目猿之助)の宙乗りのために天井にレールがつけられ、宙乗り用の鳥屋が下りてくる構造となっています。すでに昨年5月『義経千本桜』「四の切」でその宙乗り装置を体験済みの猿之助は、今回、葛籠抜けを披露。
「宙乗りは皆さん喜んでくださる」と、自身の体力的な負担は別にして、「お客様の期待に応えるのも裏切るのも、我々の仕事。なんだか面白いものをやっているから、歌舞伎って本当に面白いかどうか、とにかく自分の目で確かめてもらえたらいい」と言います。
役者はアスリート
昼の部は、右近、笑也が又平おとくを演じる『傾城反魂香』に引き続き、『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』に出演。こちらも、「運動会をしているみたい」に、猿之助の早替りが忙しい変化(へんげ)舞踊で、「役者ってある意味アスリート」との例えも出ました。
平成20年2月博多座で役を増やして以降、猿之助はこの演目を7人が登場するバージョンで上演しています。前回、歌昇が演じた卜部季武は今回、中村米吉が演じますが、「歌昇君や米吉君は今、とても頑張っている世代。これからも後輩たちの活躍が見たい」と大きな期待を寄せている様子がうかがえました。
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三代目猿之助によって、数々の復活狂言が生まれた明治座で、今度は四代目猿之助の新しい活躍が始まります。チケットは9月28日(金)、チケットWeb松竹、明治座ほかで発売です。