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幸四郎、雀右衛門が語る「松竹大歌舞伎」西コース
8月31日(水)から全国21カ所で行われる、平成28年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」西コースに出演する松本幸四郎、中村雀右衛門が、公演に向けての意気込みを語りました。
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中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露興行となる今年の「松竹大歌舞伎」西コース。『當年祝春駒』で幕を開け、「襲名披露口上」に続く『仮名手本忠臣蔵』「七段目」で、雀右衛門がおかるを勤めます。由良之助は、四世雀右衛門がおかるを演じた際も相手役を勤めた幸四郎。平右衛門は梅玉です。
四世雀右衛門にゆかりのある『仮名手本忠臣蔵』「七段目」
「とにかく、みどころがたくさんの芝居です。楽しみにしてください」と、挙げればきりのない「七段目」の魅力を笑顔に託して幸四郎が言うと、雀右衛門も、「登場人物の心情をお客様と共有させていただいて、物語の筋を追うより、登場人物の心を感じ取っていただければ、わかりやすいと思います」と、にこやかに話しました。
「遊女であり、勘平の女房でもあり、元は腰元と、複雑な役柄ではありますが、『七段目』の一力茶屋の場では、色気もあって誠実でと、女方としていろいろなものを表現しないといけません。女方が重きをなす大きな舞台ですから、そこで父の姿を再現できるよう、自分の体を通してお見せしたい」と、おかるへの意気込みを語った雀右衛門。勘平が死んだと聞いて苦しむくだりには、「驚くところや間の取り方など、細かく父が教えてくれた思い出もございます」と続けました。
雀右衛門の名前を全国へ
「若い頃は映画スター、雀右衛門になられてからは古風ないい女方さんでした。いろいろと女方としてお相手をしてくださって、いい勉強をさせていただきました」と、四世雀右衛門との数々の共演の舞台を懐かしんだ幸四郎。最後の舞台となった楽屋で、幸四郎がかけた言葉に「おじさんがにこっと笑って…」と話す幸四郎のまぶたには、美しい四世雀右衛門の姿が、今もありありと残っているようです。
その四世の名前を継いだ五代目雀右衛門。「父の教えが、役の性根を理解して気持ちを強く持つこと、そしてとにかくきれいでないといけない、でした。この二つが、舞台を勤めるうえで私が大切にしていることです」と、きっぱりと語り、「今回の公演は、雀右衛門という名前で回らせていただく大きな責任がございます。お客様にも注目していただけるので、より頑張って、もっともっと素晴らしい舞台が勤められるように頑張ります」と、決意も新たに公演に臨みます。
いいお芝居をお見せしたい
公演が行われる各地の会場は歌舞伎のためにつくられた劇場ではありませんが、「劇場がどのような形であれ、そこにいらっしゃったお客様に感動していただくことが大切」と、幸四郎は言います。「歌舞伎だからどうこう、ではなく、面白い芝居を心に感じていただくことが大事。歌舞伎というより、“いいお芝居”をお見せしたい」と語る言葉には、日本全国で公演を続けて芝居を観るということを根づかせた、「先人たちの努力」への感謝が表れていました。
これまでも公文協の全国公演には数多くの出演を重ねた雀右衛門も、幸四郎の言葉にうなずきながら、さらに今回は、「幸四郎のお兄様、梅玉のお兄様にご出演していただく『七段目』で襲名披露させていただける。こんな幸せなことはございません、自分のなかでも大きな公演の一つになると思っています」と、喜びで声を弾ませました。
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平成28年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」西コースは、8月31日(水)から9月25日(日)まで、全国21カ所で公演。チケットは、公演情報の公演日程詳細に記された各会場へお問い合わせください。チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイトでお取扱いのある公演もあります。