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海老蔵が語る、歌舞伎座昼の部『柳影澤蛍火』
7月2日(土)から始まる、歌舞伎座「七月大歌舞伎」の昼の部で上演される『柳影澤蛍火(やなぎかげさわのほたるび)』について、出演の市川海老蔵が語りました。
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「七月大歌舞伎」で海老蔵が出演する昼の部の『柳影澤蛍火』は、五代将軍徳川綱吉時代の側近、柳沢吉保を描いた宇野信夫の作品です。吉保の江戸下屋敷の庭が今に残る「六義園」(東京都文京区)を訪れた海老蔵は、庭園内にある心泉亭の特等席から座視観賞式の庭を眺め、「素晴しい。吉保役を頂戴してこちらに寄せていただいたので、感慨もひとしお。来てよかった」と、見渡す限りの豊かな緑を前に語り始めました。
人間の性、欲を歌舞伎座の大きな舞台で表現したい
昭和45(1970)年5月に初演されたこの作品では、卒塔婆を書いて暮らしの助けにするほど貧しい浪宅暮らしの弥太郎が、幕が変わるごとに出世を遂げ、屋敷や衣裳もどんどん豪華になって、名前まで将軍の一字をもらい受けて吉保になります。
「人間が成長していく過程で、欲から生まれたその人の生き様、こんな素晴らしい場所をつくるまでになった人の、欲にかられた部分。そういった人間のドロドロとしたところを、歌舞伎座という大きな劇場で描き出したい」
今までにない自分に会いに行く
「宇野先生が描きたかったものをそのまま表現できることが、一番の面白くする方法では」。奇をてらった演出や仕掛けで見せるのではなく、宇野作品としての魅力をとことん掘り下げていくことができるのも、歌舞伎のよさと語った海老蔵。初演の三世實川延若の映像を見て、「人間の性(さが)を演じられるようにしたい」と思ったと言い、表現をち密に積み上げ、「やったことのない部類の役なので、今までにない自分に会いに行く」と、初の柳澤吉保役に意欲を見せました。
「『柳影澤蛍火』は物事を斜めに切るような、切り口の新しい演目。人間、真面目でいい人が必ずしも出世するわけではない、悪事に手を染めて出世する人もいる、その先にどういう結末が待っているのか…。現代劇に近い感覚で見ていただきたいですね。歌舞伎を初めてご覧になるという方も、意外とわかりやすいと思ってくださるのではないでしょうか。おすすめです」と、海老蔵はあらためて公演をアピールしました。
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歌舞伎座「七月大歌舞伎」は、7月2日(土)から26日(火)までの公演。チケットは6月12日(日)より、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹にて発売予定です。