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獅童がスペシャルトークショーで語った歌舞伎座『あらしのよるに』
12月3日(土)、東京 KITTE丸の内で開催された、歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第一部『あらしのよるに』のスペシャルトークショーに、中村獅童が登場しました。
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歌舞伎座で『あらしのよるに』東京初演の幕が開いて2日目、舞台を終えた獅童が、KITTE丸の内の会場に駆けつけました。「東京の俳優にしてみると、ホームグラウンドでさせていただけることが、非常にありがたい。南座での初演以上に皆様の心に届くように勤めていきたい」と、しっかり舞台の手応えを感じている様子を見せました。
今回の上演では、「舞台が大きく客席が広いので、(登場する)人数を増やしたり、また、がぶとめいの場面を一つ増やしたりして、より理解を深めていただくために、ちょっとした工夫をしています」。しかし、歌舞伎を初めてご覧になる方が多いせいか、客席で笑ったり拍手したりするのに戸惑う方が気になるようで、「歌舞伎はライブ、肩の力を抜いて思い切り楽しんでください。足を運んでいただいて空間と時間を共有し、お客様と役者でつくり出すのが演劇です。遠慮せず応援していただきたい」と話すと、会場からは拍手が上がりました。
歌舞伎座の今月の楽屋が、3年前の獅童の母が亡くなったときと同じ部屋だったこともあり、「きっと見守ってくれていると思います。この作品のファンタジーな世界観は、狐忠信なども登場する歌舞伎に通じると思うし、あなたに向いている話だわ、と、そんなふうに語り合ったのも思い出します」。『あらしのよるに』が歌舞伎になることを切望していた母の思い出が、獅童の胸をよぎり、「作品を通じていろいろなことを思い出しました。そして、作品を通してさまざまなことを勉強させていただきました」と続けました。
『あらしのよるに』は、絵本が歌舞伎になった初の作品。「本来ならあり得ない話が、絵本の世界なら大人の心に響く。職業や年齢、性別でいろいろな見方があるようです。それもテーマが普遍的だからでしょう。普遍的なテーマは国境を超える。こういった話が愛されれば、やがては争いも減っていくのでは。ご覧になる方それぞれの視点で見ていただければいいと思います」と話しました。
14年ほど前、テレビの声優としての仕事が出会いとなった『あらしのよるに』ですが、「30代で歌舞伎以外の仕事に挑戦することで出会った方々、作品を、40歳を過ぎた今だからこそ、一つひとつ歌舞伎に返していくことが、中村獅童の歌舞伎俳優としての生き方かなと思っています」と、しみじみと語った獅童。「小さなお子さんに見ていただいて、20年後、30年後でも、また歌舞伎を見に行ってみようと思っていただければうれしい」。
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「がぶは自分に共通するところがあるのかもしれない」と言う獅童は、最後に、「ありがとうでやんす。みんな、歌舞伎座で待ってるでやんす。ばいばーい」と、来てくださったたくさんの方々に手を振りながら、がぶのような笑顔を見せて会場を後にしました。
歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は、12月26日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹にて販売中です。