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三越劇場創立90周年で喜多村緑郎、河合雪之丞が語る

三越劇場創立90周年で喜多村緑郎、河合雪之丞が語る

 5月2日(火)まで日本橋三越本店で、三越劇場創立90周年を記念して開催中の「三越劇場のあゆみ ~90年そして未来へ~」展で、喜多村緑郎と河合雪之丞がトークイベントを行いました。

 4月30日(日)、「舞台で魅せる90年 ~Theater staff's selection~」と題して開かれたトークイベントでは、喜多村が市川段治郎、市川月乃助、河合が市川春猿として、「三越歌舞伎」や新派の舞台に立った思い出の三越劇場について語りました。

 

三越劇場創立90周年で喜多村緑郎、河合雪之丞が語る

昭和の名優が立った歴史ある舞台

 昭和2(1927)年、世界で初めて百貨店の中の劇場として開場した三越ホールは、戦後、昭和26(1951)年11月再開場、12月、「中村吉右衞門一座大歌舞伎」の興行から三越劇場となりました。十一世團十郎、十七世勘三郎、初世白鸚、六世歌右衛門らが舞台に立ち、「三越歌舞伎」はおおいに人気を博しました。「歌舞伎の名優が立った舞台に立つうれしさ。歴史の重みが感じられます」と喜多村。河合も、「同じ空間に立っていられるという素晴らしさ。三越劇場ならではの芝居つくりをしていかないといけません」と続けました。

 

 歴史は続き、やがて「三越歌舞伎」は若手の登竜門として、大役挑戦の場として知られるようになります。二人にとっての初三越劇場は、春猿として初めての自主公演となる舞踊リサイタルを行った平成9(1997)年2月。その舞台に段治郎時代の喜多村も、国立劇場俳優養成の同期生として後見で出ていました。「師匠(猿翁)が常に、劇場は空間も含めてすべてがお客様を迎える場でなくてはいけないと言っておりますが、三越劇場はそういう意味でも素晴らしい劇場ですね」。大理石やステンドグラス、数々の意匠がお客様を劇空間へといざないます。

 

三越劇場創立90周年で喜多村緑郎、河合雪之丞が語る

お客様との親密な関係がもたらす特別の空間

 現在の客席数は514。女方の河合が、「毛穴まで見られている感じで身が引き締まります。細かな演技が客席に伝わるようにと、すごくいい勉強になります」と言うと、喜多村も「歌舞伎の隈取のぼかし方など細かいところまで、緊張していつもより丁寧になります。お客様の息遣いも聞こえるんですよ」と、記憶をたぐりよせるにようにして語りました。

 

 歌舞伎への出演は平成18(2006)年2月『車引』の松王丸と桜丸。以来、「三越歌舞伎」への出演、新派の舞台出演を経て、今では劇団新派の劇団員として三越劇場に立つ二人ですが、今度の舞台は「新派とも歌舞伎とも言い難い、新しい挑戦」(喜多村)の舞台、『黒蜥蜴』です。

 

三越劇場でしか上演できない『黒蜥蜴』

 歌舞伎にしたら面白いのでは、新派の舞台だったらどうだろうと、喜多村が以前、朗読劇のために台本まで書いて上演を願ったという『黒蜥蜴』。「三島由紀夫版と違い、原作に近いもので、エンタテインメントのスピード感もあり、ビジュアルも面白く、理屈なく楽しめます」と、念願の上演に喜びが隠せない様子です。河合も「みどころ満載。言いたいことはたくさんあるのですが…」、ネタばれになってしまうので、「とにかく、三越劇場でしかご覧になれない『黒蜥蜴』です、としか今は言えません」と、ますます期待をあおります。

 

 『黒蜥蜴』の初演は先代の水谷八重子、そんなところにも、縁を感じるという二人。初めて読んだときから、「無国籍的な面白さがある」と感じていたという喜多村は今回、道具や照明、音楽などにも携わり、「全員が出せるものを出し切ろうというコンセプトで」、どんなジャンルの芝居になるのかは開けてみないとわからないと言います。「芝居の枠にとらわれず、たくさんの方に観に来ていただきたい」とアピールした河合は、「この人の(黒蜥蜴の)ビジュアルにかかっています!」と喜多村に言われ、「頑張ります!」と気合を見せました。

 三越劇場の六月花形新派公演『黒蜥蜴(くろとかげ)』は、6月1日(木)から24日(土)までの公演。喜多村の明智小五郎と河合の黒蜥蜴で、節目の創立90年から未来への一歩を踏み出す公演です。

 

三越劇場「六月花形新派公演」
『黒蜥蜴』(くろとかげ)

出演 

喜多村緑郎 河合雪之丞
秋山真太郎(劇団EXILE) 春本由香/永島敏行
日時  2017年6月1日(木)~24日(土)
  11:00/15:00開演 ※1日のみ13:00開演
  上演時間 2時間50分(幕間25分含む)
場所  三越劇場(日本橋三越本店6階)
チケット 


 
全席指定:9,000円(税込)
チケットWeb松竹
チケットWeb松竹スマートフォンサイト
チケットホン松竹

お問い合わせ 三越劇場:0120-03-9354

 

三越劇場創立90周年で喜多村緑郎、河合雪之丞が語る

2017/04/30