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萬次郎「七月名作喜劇公演」成功祈願で湯島天神へ

萬次郎「七月名作喜劇公演」成功祈願で湯島天神へ

 『お江戸みやげ』成功祈願を行った湯島天神で、左より波乃久里子、市村萬次郎

 7月3日(月)より始まる、新橋演舞場「七月名作喜劇公演」に出演の波乃久里子と市村萬次郎が、東京 湯島天神で成功祈願を行いました。

 7月の新橋演舞場で上演される『お江戸みやげ』は、田舎から行商に来たお辻が、湯島天神の宮地芝居を観て看板役者の栄紫に惚れ込んでしまう物語。湯島天神の茶屋で話に花を咲かせるお辻とおゆうを勤める波乃と萬次郎が、6月12日(月)、ゆかりの湯島天神で公演の成功を祈願しました。陽気に恵まれ、爽やかな風が渡る本殿での儀式を終え、波乃は「成功間違いなしを確信しました」、萬次郎は「気も新たに稽古に入れます」と、二人とも晴れやかな笑顔を見せました。

 

十七世勘三郎、七世芝翫の当り役を
女優として初めて演じる波乃

 『お江戸みやげ』は昭和36(1961)年12月明治座で波乃の父、十七世中村勘三郎と、水谷八重子の父、十四世守田勘弥がお辻とおゆうで初演、平成3(1991)年、20年ぶりに上演した七世芝翫は、生涯6度もお辻を勤めています。波乃は、「(七世)芝翫のお兄様は二枚目なのに、喜劇性があってものすごく楽しんでやっていらした。父の看護師がたあちゃんといって田舎の人で訛りがあったんですが、お辻の話し方はたあちゃんでつくったんだとおっしゃっていたそうです。そこは真似させていただこうと思います」と、初役に向けて意気込みを見せました。

 

萬次郎「七月名作喜劇公演」成功祈願で湯島天神へ

 女優として初めてお辻を勤める波乃。「父の女方のやり方は哀愁があった。片思いのやり方も」と語り、残っている写真のお辻に似せて扮装写真を撮ったと言います。師の初世八重子は、「女優は女方の真似をしてはだめ。女優しかできないやり方を探れとおっしゃっていました。女方なら成り立つ芝居が、女優ではわざとらしく見えることもあります。けれど、芝翫のお兄様は女方というより、人間を出していらしたから」、お手本にしたいと語りました。

 

芝居の雰囲気、稽古のなかでつくり上げる

 女方で歌舞伎の舞台に出ている萬次郎は、「若いときは女になろうと、無理に高い声を出したりいろいろしました。それがあるとき、男も女も老いも若いも関係ない、その人が今、何を思い、どうするのかを考えるようになり、そこから少しずつ変わってきました」と明かし、「女方を意識せず、お辻、おゆうをお互いに思ってつくっていけば、男も女も関係なく自然に芝居に溶け込めるのではないでしょうか」と、経験を踏まえた話をしました。

 

萬次郎「七月名作喜劇公演」成功祈願で湯島天神へ

 萬次郎は3年前、『母をたずねて膝栗毛』で藤山直美と共演しています。「最初は化粧をどうしようか考えましたが、最終的には生世話の女方の感じでできました。今回も自分のもっている普通の芝居、ちょっと歌舞伎要素の入った芝居を基本にやってみたいと思います。そして、芝居の雰囲気、稽古のなかで自然な形でつくっていければいいのでは」と、気負わず役を楽しもうとしている様子をうかがわせました。

 

俳優の腕で見せる川口作品

 6年前の新橋演舞場で『お江戸みやげ』が上演されたときには、紋吉として出演していた萬次郎。舞台の合間に茶屋へ一杯ひっかけにくる役ですが、「楽屋着で出たら、宮地芝居だから衣裳のままでいいと言われました」といった思い出話も飛び出しました。「今回も基本的には古典的な形でいこうと思いますが、久里子さんと息が合う部分とか、その俳優の個性がお互いに出るのが一番いいのではないでしょうか」。二人の掛け合いでどんな芝居の空気ができるのか、期待がふくらみます。

 

 演出の大場正昭も、「俳優の腕で勝負するというか、人間の中にあるもので勝負する作品。そういう意味でまったく古くない」と続けました。波乃は『筆屋幸兵衛』のお雪を勤めたとき、この作品の原作者、川口松太郎に「新派に来ないか」と声をかけられたという縁もあり、「先生のお作は大好き。でも、川口作品は難しい」と本音がこぼれます。萬次郎は、演じるおゆうと同じく自分もお酒が好きなので、「なるべく普段のままやらせていただければいいのではないかな」と笑いを誘いました。

 新橋演舞場「七月名作喜劇公演」は、7月3日(月)~25日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。

 

萬次郎「七月名作喜劇公演」成功祈願で湯島天神へ

 湯島天神本殿での成功祈願、右より市村萬次郎、波乃久里子、大場正昭(演出)、西村幸記松竹株式会社取締役、千田学新橋演舞場支配人

「七月名作喜劇公演」公演情報詳細はこちら

2017/06/12