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巳之助、隼人が語る新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』
8月4日(土)から始まる新橋演舞場の新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』に出演の坂東巳之助、中村隼人が、脚本・演出のG2とともに公演について語りました。
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膨大な世界を貫く一本のストーリー
G2は今回の新作歌舞伎において、全72巻の原作の「頭から終わりまで、うずまきナルトとうちはサスケの関係をすべて描くことが目標です。それ自体が作品の世界感であり、テーマに通じる。膨大な世界を貫く一本のストーリーをつくっています」と、壮大な構想を明かしました。「一ページにすごいアイディアと、(原作者の)岸本斉史さんの情熱が込められているので、できるだけ原作に忠実な形にしたい。今のところの準備稿は原作のせりふだけで構成されたものにしています」。
原作漫画と出会ってから「20年近い歳月を経て、私がナルトを勤めさせていただく、こんな感動的なことはありません」と言う巳之助。中学生の頃、稽古に通うご褒美に連載誌の「週刊少年ジャンプ」を買ってもらっていたという隼人は、「昔からいろいろ教えてくださる巳之助のお兄さんと、お互い刺激を与え合いながら舞台を勤めたい」と、二人からは愛する漫画のキャラクターを演じるうれしさがあふれていました。
歌舞伎公演のために描いたカットが(後日公開予定)、巳之助と隼人の新ビジュアルの立ち姿と、足の構えが一致していたことに感動した岸本氏からは、「お二人と僕の中のキャラクターに対するとらえ方にずれがない」とのコメント。「すべての生みの親である先生からのコメント、胸に刻み付けたい」(巳之助)、「しっかり稽古して先生も感動する歌舞伎を」(隼人)と、二人は望外の喜びに一段と気合が入りました。
ナルトとサスケ、二人こそが作品の魅力
「一人ひとりのキャラクターの深さ、行動原理が明確にあって、漫画に描かれていない部分も見えてくる深い描写」、それが巳之助の感じる作品の魅力。そして、ナルトとサスケの関係性を挙げたのは隼人。「根本に友、ライバル、嫉妬しあう仲、いろんな感情が渦巻いていて、この二人が作品に厚み、深みを出していると思います」。
原作の大きな魅力の一つであるアクションシーンについては、巳之助が、「歌舞伎の立廻りらしい部分も盛り込みながら再現したい。二人が相対する場面では、今でなければできないようなことができたら」。隼人は「歌舞伎の立廻りをするとその形が、漫画のコマにあったりして、歌舞伎と漫画『NARUTO -ナルト-』の相性はすごくいい。両者が“合う”ところをたくさん見つけて組み込んでいきたい」と、二人ともに意気込みを見せました。
キャラクターの深みを描きたい
「ナルトとサスケがそれぞれ違った種類の孤独を抱え、お互いに必要としながらもすれ違う。そこを大切にしたい。周囲の影響をよくも悪くもたくさん受け、物語決着へ向かっていく流れを丁寧にお見せできれば」と巳之助。隼人も、「ナルトとサスケは紙一重」と、似通った部分があるうえで、「(原作に)自分を寄せ、サスケの役づくりを深めていくことで、ナルトの明るさが立つので、暗さ、闇、陰の部分をお客様にくっきりみせたい」と語りました。
そして、物語の中心として二人は、「いろいろなことに振り回されながらも、芯がぶれない」のがナルトの魅力、「言っていることに説得力があり、芯が通っている」のがサスケの魅力と、成長を描きながらも魅力が物語を通して揺るがないことも強調しました。
漫画と歌舞伎
ドラマやキャラクターの感情、内面を歌舞伎で描くには、時間がかかります。巳之助は、「漫画と歌舞伎は相性のいい部分もあるけれど、どちらに寄せるか、どちらでもないところを入れることも含め、バランスに気をつけないといけません。原作を知っていて補完して観てくださるお客様には不要な情報、知らない人には疑問が生じてひっかかる情報、どちらのお客様にも親切なのはそれをなくすこと、そういう判断も必要になってきます」。
「漫画では、口癖やしぐさに結構キャラクターが出ているので、そこを使いつつ、一方では古典歌舞伎に携わる歌舞伎俳優だからこそ、普通にしゃべっても歌舞伎に見えることを強みにして」、キャラクターをつくり上げたいと隼人。G2は「なるだけ歌舞伎の手法、ケレン、大仕掛け、演技法をとり入れ、(原作と歌舞伎が)融合して生まれるものをすくいとる」と、演出について述べました。
二人のうちはマダラと和楽器バンド
この二人を飲み込むように現れるのが、猿之助と愛之助のうちはマダラ。「まさにマダラとなって、二人の前に猿之助が立ちはだかります。僕を打ち倒してください」に続き、愛之助も「二人とも全力でかかってきてください。全力で立ち向かいます」と、交互出演の二人からは、巳之助と隼人への期待の高さがうかがえるコメントも寄せられました。マダラという猿之助、愛之助に立ち向かい、超えていこうという姿勢はナルト、サスケと同じ。期待に応えることこそが恩返しにつながります。
さらにこの日、楽曲提供として和楽器バンドが参加することも発表されました。隼人は、「力強い楽曲にしっとりした歌声、和楽器の中に洋楽器も入ったバンド。日本の伝統である歌舞伎と、伝統になりつつある漫画がコラボレーションしているこの作品が、そういう和楽器バンドの音楽でより世界観が高まるのでは」と、親和性を見出していました。
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新橋演舞場「新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』は、8月4日(土)から27日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹で6月23日(土)発売予定です。