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團十郎が語る、新橋演舞場『双仮名手本三升』 

團十郎が語る、新橋演舞場『双仮名手本三升』

 

 2025年1月3日(金)から始まる新橋演舞場『双仮名手本三升(ならべがきまねてみます)』に出演する市川團十郎が、公演についての思いを語りました。

忠臣蔵の表と裏を描く

 「忠臣蔵」の上演を決めた理由を問われると、「私が子どもの頃、『仮名手本忠臣蔵』は、最も重みのある、そして人気のある特別な演目のひとつという印象でした。しかし近年では、時代の変化もあり、日本人でさえその世界感を理解するのが難しいと感じる方もいらっしゃると思います」と、まっすぐな眼差しで話し始めた團十郎。「『仮名手本忠臣蔵』は素晴らしいですし、古典演目として丁寧に表現する重要性もあります。来年の3月には、歌舞伎座で通し狂言として上演される予定もありますので、現代的な視点も意識して挑む『双仮名手本三升』のような提案があっても面白いのではないか、という思いで挑みます」。

 

 表は『仮名手本忠臣蔵』を指し、裏は忠臣蔵の外伝的な部分を意味すると語る團十郎は、「“外伝”とは、いわゆるスピンオフです。スピンオフ部分を取り入れることで、物語をよりはっきり描き出すことを裏表と呼ぶのだと思っています。例えば、『仮名手本忠臣蔵』のなかで斧定九郎は、『五十両』のひと言で終わってしまいますが、そんな定九郎にも焦点をあてたり、加古川本蔵と大星由良之助とのやりとりにも、裏表ならではの場面を追加しました。さらに娘の(市川)ぼたんと倅の(市川)新之助が、おかると勘平の“裏”を演じる予定です」と、その構想を明かします。

 

團十郎が語る、新橋演舞場『双仮名手本三升』 

 

早替りで4役を勤める

 大星由良之助、早野勘平、斧定九郎、高師直の4役に挑むことについて、「師直は、傲慢で、周りが見えない、現代でも話題に上がってしまうような人物像を歌舞伎として表現していきたいと思います。それに対して由良之助は、忠実で、誠実な男で、報われる人にしていきたいというのが今回のビジョンです。勘平が、基本的に四十七士に入りたいという男だという描き方は、本編とはあまり変わらないかもしれません」と、その演じ分けについての背景を説明します。

 

 続けて、「今回定九郎は、結構重要な存在です。由良之助という、真面目に勤める人が成功してほしいという思いがあるので、それを見えやすく描くためにも、悪というものが対峙している必要があります。そうした構図のなかで、師直に直結する斧九太夫の息子として定九郎には暴れてもらおうと思っています」と、期待をにじませながら話しました。

 

 「勘平と定九郎は父(十二世市川團十郎)に習いました。師直は、左團次のおじさんに。由良之助は、初役になるのですが、古典で描く姿とは異なるところもあるので、先輩方にお話を伺いながらつくっていけたらと思っています。また、宙乗りも予定していて、どのようにするか相談中ですので、期待していただけたらと思います」と笑顔で語り、締めくくりました。

 新橋演舞場『双仮名手本三升』は、1月3日(金)から26日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2024/12/03