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我當、秀太郎、仁左衛門らが語る、歌舞伎座「二月大歌舞伎」

我當、秀太郎、仁左衛門らが語る、歌舞伎座「二月大歌舞伎」

 

 2月2日(日)に初日を迎えた、歌舞伎座「二月大歌舞伎」に出演の片岡我當、片岡秀太郎、片岡仁左衛門をはじめ、松嶋屋一門の俳優がそろい、十三世片岡仁左衛門の二十七回忌法要が行われ、公演に向けての思いを語りました。

 「二月大歌舞伎」では、『菅原伝授手習鑑』、『八陣守護城』、『道行故郷の初雪』が、十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言として上演されます。1月28日(火)に池上本門寺で行われた十三世仁左衛門の二十七回忌法要には、松嶋屋一門をはじめ、約70名が出席し、ともに故人を偲びました。

 

松嶋屋が大切に受け継ぐ演目がそろう「二月大歌舞伎」

 親子孫、三世代そろって出演する『菅原伝授手習鑑』「道明寺」について、「父の追善狂言で、親子三代で出演できることは本当に幸せなこと。舞台に立てば兄弟も親子も孫も関係ないので、一所懸命勤めたい」と仁左衛門が語ると、孝太郎は「伯父の秀太郎が勤めていた役(立田の前)を私が勤め、私が今まで多く勤めた苅屋姫を千之助が勤めさせていただきます」と、真剣な面持ち。千之助は、「父が勤めていた役を、初役でこの年齢でやらせていただけることは、とてもありがたいことですし、感謝の気持ちをもって勤められるように頑張ります」と、意気込みました。

 

 十三世仁左衛門が生涯で3度演じ、高い評価を受けた役である菅丞相を、今回6度目となる仁左衛門が演じます。「加茂堤」から「道明寺」までは、「決して派手な舞台ではないですが、内容をじっくりと観ていただくお芝居です。菅丞相に関しても、演技力と言うよりも、もっているもの、内側から出るもので勝負させていただくお役です。心で演じていれば、伝わるものだと思います」。

 

  我當、進之介が親子で出演する『八陣守護城』は、十三世仁左衛門の最後の舞台となった演目。平成5(1993)年12月の南座「吉例顔見世興行」において、休演した父の代役で佐藤正清を演じた我當は、「父の最後の舞台ですし、その際に代役で出させていただきましたので、本当に感無量です。父の通りにはいかないですけれども、父の足元に届くように正清を演じたい」と話しました。進之介は、「思い入れが深いお芝居です。子どものときに、祖父のそばで出してもらいました。今回4度目ですが、ご見物に恥ずかしくないように、一所懸命頑張ります」と、抱負を述べました。

 

 これまで『菅原伝授手習鑑』の「道明寺」で、苅屋姫、立田の前、覚寿を勤めてきた秀太郎は、今回、「筆法伝授」で菅丞相の御台所、園生の前を初役で勤めます。「父が初めて菅丞相をいたしましたときも、最後のときも、私が苅屋姫を勤めさせていただきました。懐かしさの極みでございます」と、思いを明かしました。また、『道行故郷の初雪』では梅川を演じます。「忠兵衛と梅川は、父と私が何度も勤めさせていただきました。皆様に喜んで観ていただきたいと思っております」。

 

我當、秀太郎、仁左衛門らが語る、歌舞伎座「二月大歌舞伎」

 法要の様子。片岡仁左衛門

十三世仁左衛門の思い出

 父、十三世仁左衛門について、「非常に温厚で、あまり怒ったところを思い出せない。(話題に上がるときも)いい話しか出ないですね。そして、なんと申しましても、素敵な、素敵な師匠でした」と仁左衛門が話すと、秀太郎も「芝居が好きな父でした。いろいろなお役のこと、先輩方に教えていただいたことをずっと覚えておりまして、我々に指導してくれておりました」と言葉を続けました。

 

 また、仁左衛門が「今みたいに映像がない時代でしたが、父にお役のことを聞くと、何十年とやっていないお役のことでもすぐに出てくる。それから、汽車が好きで時刻表をほぼ暗記していて、目的地を言うと、そこまでの行き方教えてくれました」と、貴重なエピソードを披露すると、我當と秀太郎も父の思い出に思いを馳せ、懐かしむ様子を見せました。

 

公演に向けたそれぞれの思い

 我當は、「(二十七回忌法要ができ、)父仁左衛門も喜んでいることと思います。本当にありがとうございます。来月は、父の手本がありますから、精一杯父の通りに勤められるよう、邁進してまいります。それが一番の親孝行になると思っております」と、感慨を込めて語りました。

 

 秀太郎は、「十五代目(仁左衛門)が、ぜひ三兄弟で父の追善興行をやりたい、と言ってくれましたので、その言葉に応えられるような舞台を勤めて、この公演を成功させたい」と、意気込みを見せました。

 

  仁左衛門は、「父は先祖を大事にした人でした。私たち兄弟がそろって父の法要を厳かに執り行え、そして大勢の皆様にお参りいただいて、父も喜んでくれていると思います。父が残してくれたお役を受け継いで、できるだけ父の足元に近づいていきたい」と、公演に向け改めて気を引き締めました。我當、秀太郎、仁左衛門、それぞれが、胸の内の熱い思いを穏やかに、そして力強く語る様子から、本公演への期待が高まります。

 

我當、秀太郎、仁左衛門らが語る、歌舞伎座「二月大歌舞伎」

 

 歌舞伎座「二月大歌舞伎」は2月2日(日)から26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2020/02/04