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『月光露針路日本 風雲児たち』と『風の谷のナウシカ』が大谷竹次郎賞、『本朝白雪姫譚話』が奨励賞を受賞
2月4日(火)、第48回令和元年度大谷竹次郎賞の授賞式で、『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』の三谷幸喜氏、『風の谷のナウシカ』の丹羽圭子氏と戸部和久氏に大谷竹次郎賞が、『本朝白雪姫譚話』の竹柴潤一氏に奨励賞が贈呈され、『月光露針路日本 風雲児たち』に主演した松本幸四郎が祝福に駆けつけました。
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大谷竹次郎賞とは、その年の1月から12月までの公演で「歌舞伎俳優によって上演された新作の歌舞伎および歌舞伎舞踊の脚本を対象とし、娯楽性に富んだ優れた歌舞伎脚本に贈る賞」です。2019年は多くの新作歌舞伎が上演され、そのなかから3作品が令和元年度「大谷竹次郎賞」として選出されました。
授賞式にあたって、選考委員の水落潔氏から、「『月光露針路日本 風雲児たち』は、人物の描き分けが鮮やかで、三谷さん独特の喜劇性もあり、また歌舞伎のオーソドックスな手法も使い、新作歌舞伎として一つの方向性を示すもの。『風の谷のナウシカ』は、作者の訴えるテーマを歌舞伎にするという難題に挑みながら、歌舞伎の手法を非常にうまくとり入れられている。そして『本朝白雪姫譚話』は原作を切れ目なく、かつ歌舞伎でないとできないやり方を用いて舞台化している」と、選考の経過が述べられました。
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6月歌舞伎座『月光露針路日本 風雲児たち』の脚本を書いた三谷氏は「歌舞伎俳優の方々と仕事をするといつも思いますが、本当にいい俳優さんがそろっている。こんな素敵な方々にあてた脚本が書けて、素晴らしい方々と一緒に作品をつくることができたことをうれしく思っております。また、俳優さんにあてて書くのと同じように、歌舞伎座にあてて書きたいなという思いがありました。僕ができることを全部やってしまおう、そんな気負いがありました」と、自身が手がける初めての歌舞伎座公演に、臨んだ思いを明かしました。
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12月新橋演舞場『風の谷のナウシカ』の脚本を書いた丹羽氏は、全7巻もの原作を昼の部、夜の部通しで上演することに「びっくりしました。漫画を読むだけで大変なので(笑)」。「歌舞伎ですので、見せ場をどんどんつくっていけばいいんじゃないかと鈴木さんにアドバイスをいただいて。自分が面白いな、観たいなというところをピックアップしてつくっていった」と、作品づくりの過程を披露しました。
ともに脚本を担当した戸部氏は、「新作歌舞伎など、作品を書かせていただくきっかけをたくさんいただき、勉強をさせていただきました」と、これまでを振り返りました。『風の谷のナウシカ』は、2月・3月に全国の映画館でディレイビューイング上映されることが決定しています。
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奨励賞を受賞した12月歌舞伎座『本朝白雪姫譚話』の脚本は狂言作者の竹柴潤一氏。「初めて脚本を書かせていただきまして、このような賞を頂戴できるとは、夢にも思っておりませんでした。少しずつかもしれませんが、これからも脚本を書いていって、少しでも歌舞伎の裾野を広げられるようなお仕事のお力添えができれば」と挨拶しました。
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『月光露針路日本 風雲児たち』含め、大谷竹次郎賞受賞作品には通算5作品に出演したという幸四郎。「僕の知っている限りでも、すごく時代が変わり、新作が常に上演される時代になりました」と語りました。大谷信義松竹株式会社会長が「これから先の歌舞伎というものは、今までの歌舞伎に対する評価とは異なり、芝居の楽しみ方も違ってくる世の中になってくるのではないかと、ますます期待するところでございます」と述べ、今後の新作歌舞伎誕生がいっそう楽しみになる授賞式となりました。