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歌舞伎座「九月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「九月大歌舞伎」初日開幕 

 歌舞伎座「九月大歌舞伎」は、9月2日(木)に第一部と三部が、9月7日(火)に第二部が、それぞれ初日の幕を開けました。

 今月も幕間ありの三部制、客席数50%を維持して公演が行われる歌舞伎座。安心安全にご観劇いただけるよう、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底して、お客様をお迎えしています。

 

 第一部は、「六世中村歌右衛門二十年祭」「七世中村芝翫十年祭」として、2作品が上演されます。幕開きは、川口松太郎による『お江戸みやげ』で始まりました。父・七世芝翫が好演したお辻を当代の芝翫が、相棒のおゆうを勘九郎が、いずれも初役で挑みます。幕が開き、福助勤める常磐津の師匠、文字福が登場するとその元気な姿に、客席からは拍手が起こりました。倹約家でしっかりもののお辻は、江戸で出会った七之助勤める人気役者、阪東栄紫にひと目ぼれ。普段はおおらかなおゆうが心配するほどの大胆な行動にでます。二人の掛け合いが笑いを誘うも、特別な江戸でのひと時が終わると、お辻のせりふが、甘く切なく響き渡りました。

 

 続いては、能の「松風」を素材にした『須磨の写絵』。在原行平を巡る松風と村雨姉妹の恋模様を描く「上の巻」にあたるこの舞踊は、六世中村歌右衛門によって復活されました。行平を梅玉、松風を魁春、村雨を児太郎が勤めます。帝の怒りを買って須磨の浦に流された行平は、都でも知れた貴公子。この地に住む松風と村雨姉妹も行平に思いを寄せ、恋心を舞に込めます。しかし、帝の赦しを受けた行平には別れが迫っていました。須磨の美しい舞台を背景に、再会を誓う行平が旅立ち、幕切れとなりました。

 第二部は、時代物の名作『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」で幕を開けます。源氏一族の争いに巻き込まれ、兄弟が敵味方に分かれて戦うことになった佐々木盛綱と高綱。弟との命を懸けた計略に苦悩する盛綱を幸四郎が演じます。兄弟の周りでは、刻一刻と変わる戦の情勢に翻弄される家族たちが描かれます。孫を手にかけることを決意する微妙は「三婆」と呼ばれる大役の一つ。歌六が気高く演じ、客席を引き込みました。丑之助演じる小四郎が、父・高綱のために命を差し出すと、我が子の最後を見守る雀右衛門演じる母・篝火の堪え嘆く姿が、客席の涙を誘いました。

 

 続く『女伊達』は、実在したという女侠客の呼び名で、その粋で洒脱な様子を描いた舞踊劇です。お囃子が響くなか、満開の桜の新吉原仲之町に颯爽と現れるのは、時蔵演じる女伊達、木崎のお光。二人の男伊達を相手に喧嘩する様は、見た目の美しさからは想像できない見事な腕っぷしです。男伊達を恋人に見立ててくどいてみせるも、一転。大勢の廓の若者たちがお光に打ちかかると、鮮やかにあしらい、得意に決まってみせました。

 

 第三部は、言わずと知れた鶴屋南北の名作『東海道四谷怪談』。玉三郎のお岩と、仁左衛門の民谷伊右衛門に注目が集まります。産後の肥立ちが悪く、隣の伊藤家から届いた薬を、毒とも知らず飲んだお岩の顔はたちまち変わり果ててしまいます。自らを欺いた伊右衛門と伊藤家へ向かおうと身支度を始めるその姿は、なお慎ましく、美しかったお岩を彷彿とさせるのもつかの間。梳くたびに髪が抜け落ち、血がしたたり落ち…その生々しい姿に、客席は思わず息をのみます。

 

 そこからは、伊右衛門を追い詰めていくお岩の怨念が、歌舞伎ならではの演出で描かれます。お岩の怨念におののきながらも、その後も平気で人を貶めていく伊右衛門の色悪は、仁左衛門のみせどころ。有名な戸板返しの場面でも、伊右衛門は気にもとめず、死体を川にけり落とします。先も見えない暗闇のなか、玉三郎二役目のお花や松緑の直助権兵衛も加わり、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、だんまりとなって、幕を閉じました。

歌舞伎座「九月大歌舞伎」初日開幕

 歌舞伎座木挽町広場では9月27日(月)まで、歌舞伎巡業公演地「厳選 全国物産展」が絶賛開催中です。これまで開催された、北海道から沖縄までの地方物産展で、大人気だった商品を販売しております。ぜひ、お立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「九月大歌舞伎」は、27日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/09/08