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「九月南座超歌舞伎」リミテッドバージョンも開幕

 9月5日(日)、南座で、「九月南座超歌舞伎」のリミテッドバージョンが初日を迎えました。

 冒頭の、映像『超歌舞伎の魅力』では、過去作品の名場面を一挙に集め、まさしく超歌舞伎の魅力を凝縮した映像に胸が高鳴ります。その後、舞台は一転、金屏風の映像の前に、獅童が黒紋付姿で登場。國矢をはじめとした出演者を紹介し、お弟子さんたちにも活躍の機会を、という思いがリミテッドバージョンに込められていると伝えます。出番を待つ出演者らに獅童が声援を送ると、客席からも温かい拍手が沸き起こりました。

 

 リミテッドバージョンの『御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)』では、本公演で獅童が演じていた源頼光と袴垂保輔を國矢が、また國矢が演じた平井保昌を獅一が勤めます。発端の場で袴垂保輔が登場するとさっそく、客席は青いペンライトで迎え、「紀伊国屋!」の音声が響きます。立廻りやだんまり、頼光と保輔の早替りなど、歌舞伎らしいみどころがあふれる本作。その一つでもある保昌の諫言の場では、赤いペンライトがともり、「萬屋!」の音声があがりました。

 

 平将門の息女七綾姫という正体ゆえに、保輔の手にかかり命を落とした、ミク演じる七綾太夫。山姥茨木婆の妖術により、蜘蛛の魂を宿し化生へと姿を変えます。憎しみと嫉妬の表情で、スクリーンから飛び出さんばかりの勢いを見せる七綾太夫の姿は、圧巻のひと言です。病鉢巻姿の頼光、太夫扮する胡蝶、保昌による拍子舞は息もぴったり。保輔のモドリの場面では、兄弟の悲しい別れが観る者の心を打ちます。

 

 紅葉舞う清水寺で戦いに臨む頼光たち。ようやく茨木婆を倒したものの、七綾太夫の化生の強さには歯が立ちません。「数多の人の言の葉を」、「白き炎を」と頼光が呼びかけると、白いペンライトと音声が南座を埋め尽くします。その光を集め、力をみなぎらせた頼光は見事に妖怪を討ち果たし、大団円を迎えました。カーテンコールでは、鳴りやまない拍手に再度幕を開ける場面もあり、残る5回のリミテッドバージョン公演に向け、力強いスタートを切りました。

 南座「九月南座超歌舞伎」は26日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。また、12日(日)より、本公演のオンライン配信を行います。詳しくはこちらをご覧ください。

2021/09/07