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獅童が語る、歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」
2022年1月2日(日)から始まる歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」に出演する中村獅童、長男の小川陽喜(おがわはるき)が、公演に向けての思いを語りました。
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2022年の年明けを飾る「壽 初春大歌舞伎」第一部の『一條大蔵譚』、『祝春元禄花見踊』に中村獅童が出演、『祝春元禄花見踊』では長男の小川陽喜が初お目見得します。会見で獅童は、「息子が自分からやりたい、と言ってくれてうれしかったですね。初お目見得の機会を与えていただき、本当にありがたいです。このように二人でここに立っているということに胸がいっぱいです」と、感慨深げな様子を見せました。
思い入れのある演目
獅童が『一條大蔵譚』の吉岡鬼次郎を勤めるのは、平成13(2001)年1月浅草公会堂の「初春花形歌舞伎」以来のこと。「25日間の興行において、初めていただいた大きなお役でした。当時、浅草歌舞伎で、一緒にヤマを越えてきた勘九郎くんや七之助くんたちと勤めるのは心強いですね。思い入れのある演目です。約20年ぶりに勤めさせていただくのだ、という思いをすべてぶつけたいです」と、熱く語ります。
鬼次郎について獅童は、「実直でまっすぐな人物」と表現。初めて勤めた際は、「勘三郎のお兄さん(当時 勘九郎)が顔見世興行にお出になっていたので、京都へ教わりに行きました。石投げの型は、紙を丸めて石みたいにして、何回も投げて。本当に投げる動きが振りになっているのだから、一回本気で投げて、それを型にはめてごらん、と稽古をつけていただいたのが印象的です」と振り返りました。
初お目見得を祝う春
『祝春元禄花見踊』で、獅童は真柴久吉、陽喜は奴喜蔵を勤めます。「大勢の仲間が出てくださる、お正月らしく華やかな踊りです。見得、立廻り、隈取など、息子が好きな要素が入っていて。自分も子どもの頃そういったことに憧れていましたので、うらやましいですね。美味しいところをもっていかれないように気を付けたいなと思います」と、冗談交じりに話す獅童。踊りの稽古や隈取りが「楽しいです」と、陽喜も気合十分です。
今回の初お目見得に至った背景には、陽喜自身の「自分も舞台に出たい」という思いがあったといいます。獅童が「私が出ている超歌舞伎を見て、隈取りをして立廻りをしている姿に憧れをもったみたいです。超歌舞伎だけでなく他の方の歌舞伎も見るようになり、自然と自分も出たいと言うようになりました」と、温かい口調で説明します。大勢の報道陣を前に、元気よく「小川陽喜です!」とご挨拶した陽喜は、初めての取材にも「緊張していません」と、頼もしく答えました。
親子で芝居に出るということ
自分が舞台に出演し始めた頃を思い返し、「私が初舞台を踏んだときに、勘三郎のおじ様(十七世勘三郎)に手を引かれて出させていただいた思い出がございます」と、懐かしんだ獅童。「その際に母がつくってくれた子ども用の鏡台を、今回、倉庫から出してきました。それを息子が使うのだと思ったとき、“親子で芝居に出る”というのはこういう感覚なのかなと、初めて少しわかったような気がしました」と、目を細めました。
「同じ舞台に立つということで、親子ですがライバルという気持ちもある。親ばかにならず、浮かれず、普段は友達のようですが、舞台に関しては厳しくしていかないといけないと感じます」と、喜びのなかに親としての覚悟もにじませます。会見のなかでは、獅童がかける「バッタリ」の声に合わせて陽喜が見得を披露し、会場を沸かせる場面も。最後に舞台への意気込みを聞かれた陽喜は、「がんばります!」と、晴れやかな笑顔を見せました。初春に初お目見得と、めでたさが重なる舞台に期待が高まります。
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歌舞伎座「壽 初春歌舞伎」は2022年1月2日(日)から27日(木)までの公演。チケットは、12月14日(火)より、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売予定です。