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歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

 

 4月2日(土)、歌舞伎座「四月大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

 今月も、歌舞伎座は三部制(各部総入れ替え、幕間あり)で公演中。客席は間隔を空けた2席並びを原則とする配置で販売し、引き続き換気、消毒など、感染予防対策を徹底してお客様をお迎えします。

 

 第一部は、通し狂言『天一坊大岡政談』を上演。江戸時代に起きた「天一坊事件」を描いた人気の講談を題材に、河竹黙阿弥が書き下ろした作品です。将軍のご落胤と偽り、悪の魅力を放つ天一坊を猿之助が演じ、一見人のよさそうな若者が、悪事を思いつき変化していく様に、客席は一気に引き込まれました。才知に長けた愛之助演じる伊賀亮は、仲間を集う天一坊の企てをはじめは拒みながらも、その不思議な魅力に惹かれて悪事に加わります。

 

 将軍のご落胤として天一坊が伊賀亮たちと江戸に向かうと、詮議のため待ち構えていたのは、松緑演じる大岡越前守です。天一坊を偽物だと疑いながらも、伊賀亮に証拠を突き付けられ、苦しい立場となる越前守。「網代問答」と呼ばれる越前守と伊賀亮のせりふの応報は、緊張感にあふれます。天一坊たちの悪事を暴くために、自らの命をかける越前守と、その家族の姿を客席は食い入るように見つめ、越前守と天一坊の対決に大きな拍手が送られました。

 第二部は、真山青果の『荒川の佐吉』で幕を開けます。幸四郎演じる佐吉は、威勢は良くてもどこか頼りない男。親分が斬られたことで状況が一変すると、友人の手を借りながら、盲目の卯之吉を育てることに。子煩悩の一面を見せる佐吉に客席からは温かい眼差しが注がれます。卯之吉を手塩にかけて育て7年が過ぎたころ、白鸚演じる相模屋政五郎が見守るなか、親分の敵である梅玉演じる成川郷右衛門への仇討ちに挑みます。一人の男の生きざまを描き、爽快で人情味あふれる物語が客席の涙を誘いました。

 

 続いて、歌舞伎の三大名作『義経千本桜』より「時鳥花有里(ほととぎすはなあるさと)」です。桜が満開の舞台に、梅玉演じる源義経と、鴈治郎演じる家臣・鷲尾三郎の大和国への道行が描かれます。旅路の途中に、又五郎演じる傀儡師輝吉と、扇雀演じる白拍子三芳野らが現れ、二人の旅の慰めに、次々に舞を披露します。実はこの芸人たちの正体は…。春にふさわしい、華やかなひとときが客席を魅了しました。

 第三部は、新歌舞伎の名作『ぢいさんばあさん』で始まります。仲睦まじい姿を見せるのは、仁左衛門演じる美濃部伊織と、玉三郎演じる伊織妻るん。伊織の癖をるんが指摘する姿や、赤ん坊をあやす二人を客席はうっとりと見つめます。伊織が単身京都へ1年勤務することになり、来年の桜の時期の再会を約束した二人でしたが…。37年の月日が経ち、再会の日を迎えることになった伊織とるん。桜の木の成長に歳月の流れを感じると、仁左衛門と玉三郎が12年ぶりに見せるおしどり夫婦の愛の姿に、切なくも心温まるひと幕となりました。

 

 最後は、江戸の二大祭りの一つ、「山王祭」を描いた清元の舞踊『お祭り』です。幕が開くと、そこは「山王祭」に浮き立つ江戸の赤坂。玉三郎演じる芸者がやってくると、艶やかな踊りを披露し、都々逸を楽しげに歌う様子を見せます。やがて若い祭りの衆も加わると、一層華やかに、江戸の活気と風情を語ります。清元の音色も耳に心地よく、客席は粋で賑やかな雰囲気に包まれました。

歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、4月28日(木)まで、本物の“飴”を樹脂コーティングしたアクセサリーと、職人が手作業で製作した食品サンプルをチャームやキーホルダーにした商品を販売しています。歌舞伎座にご来場の際はぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「四月大歌舞伎」は27日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2022/04/07