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菊五郎、時蔵、菊之助、梅枝らが語る、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」
5月2日(月)から始まる歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」、第二部『土蜘』に出演の尾上菊五郎、中村時蔵、尾上菊之助、中村梅枝、尾上丑之助、小川大晴が、公演への思いを語りました。
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「團菊祭」で音羽屋思い入れの演目を
歌舞伎座の吉例行事として受け継がれてきた「團菊祭」が、令和元(2019)年以来3年ぶりに開催されます。第二部『土蜘』は、音羽屋の家の芸「新古演劇十種」の一つに選定されている舞踊劇です。「五代目菊五郎が(河竹)黙阿弥さんに、團十郎家の『勧進帳』に匹敵するような曲にしてくれという思いでつくった作品。とても良い曲がついていますし、思い入れ深い狂言です」と述べた菊五郎。大切にしてきた演目だからこそ、「今回久しぶりの團菊祭で、倅に『土蜘』をやらないかと勧めた」と、上演の経緯を明かします。
菊之助は「團菊祭で5月の歌舞伎座を開けさせていただくこと、菊五郎家の一員といたしましてうれしく思っています」と、感慨を込めます。音羽屋三代での『土蜘』は、昭和62(1987)年6月の歌舞伎座で、七世尾上梅幸、菊五郎、菊之助(当時 丑之助)が勤めて以来、実に35年ぶりとなります。「祖父が本当に凛とした頼光で、父が勤めていた智籌の迫力にも圧倒された思い出があります。私もゆくゆくは土蜘の精を勤めたいと、ずっと子どもの頃から思っていました」と、当時を振り返ります。
その思いがかない、令和元(2019)年、6月博多座で僧智籌実は土蜘の精を勤めた菊之助。叡山の僧として花道から登場しますが、「物音を立てずに、いつの間にか七三に立っています。父からもそこは難しいと指導してもらっていたので、今回はさらに花道での出を研究しつつ、父が勤める頼光に向かっていきたい」と、気を引き締め、土蜘の精の前半と後半の「その対比をご覧いただきたい」と、意気込みをみせます。
2組の親子孫三世代で演じる『土蜘』
さらに本公演での『土蜘』には萬屋三代も出演し、華やかな顔合わせでの2組の共演が実現します。菊五郎は、「一つの狂言に2組の、三世代の芝居ができるということは本当に初めてではないか」と期待を口にします。自身の役については、父・七世梅幸が演じた頼光が「最初の病の姿から、(智籌を斬りつける場面で)目を開いて武将の姿になっていく変化がとても鮮明だった」と懐かしみ、「松羽目物は照明が変わりませんが、私も父のように“舞台”を変えていきたい」とその強い思いを語ります。
平成9(1997)年以来、2度目の侍女胡蝶を勤める時蔵は、「『土蜘』は思い出が深い狂言ですので、そこに親子三代で一緒の狂言を勤められることはうれしいこと」と、喜びをにじませます。「胡蝶は壺折という衣裳を着ているので大変踊りにくいのですが、『土蜘』はお能からとったものですので、お能のように優雅に、そして品よく舞いたいと思っております」と続けました。
「今回の『土蜘』は親子三代、2組でやるという稀な舞台ですので、私たちの100年の物語をこれからも見守っていただければ」と、菊之助は、自身が出演した連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」を絡めて公演をアピール。
巫子榊を勤める梅枝は、「父と私と息子の三人で、同じ狂言に出られることは初めてですし、記念の舞台にご一緒させていただけることを、大変うれしく思っております」と、三代での出演がかなったことを噛み締めます。「榊は間狂言と呼ばれる場面に出ておりますので、空気を軽くしてお客様にくすっと笑っていただき、また重厚な空気に戻したい」と、役どころについて触れました。
「祖父と父と一緒に出られることがすごくうれしいです」と元気よく挨拶したのは太刀持音若を勤める丑之助。石神実は小姓四郎吾を勤める小川大晴も、「石神を勤めさせていただきます。よろしくお願いします」としっかり挨拶。今年3月での共演以来仲良くなったという二人に、時蔵が「さっきも会ったらハイタッチしていた。そういう関係です」と、微笑ましいエピソードも披露。2組の親子孫の三世代が見せる舞台に、今から注目が集まります。
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歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は5月2日(月)から27日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。